東北大など、「マントル遷移層」に水が10億年以上も貯蔵されていると発表

 

東北大学は9月2日、海洋研究開発機構(JAMSTEC)との共同研究により、地球内部の「マントル遷移層」に、10億年以上もの長い期間にわたって水が安定して貯蔵されていた証拠を明らかにしたと発表した。

同大学大学院理学研究科・地学専攻准教授の栗谷豪氏(現在は、大阪市立大学理学部地球学科准教授)と教授の大谷栄治氏、JAMSTEC地球内部ダイナミクス領域チームリーダーの木村純一氏らによる発表で、英科学誌「Nature Geoscience」オンライン版に、9月4日(現地時間)に掲載された。

マントル遷移層は深さ約410kmから660kmの間に存在し、上部マントルと下部マントルの境界部に位置している。この深さにまで水を運んでいるのが、プレート境界部から地球内部に沈み込む海洋プレートだ。プレートは表層部に海洋との反応から相当量の水を含んでいる。プレートの大部分の水は上部マントルで放出されるが、プレートによってはマントル遷移層に長時間滞留するものもあり、水もそこまで持ち込まれるというわけだ(画像1)。

画像1。地球表層域から地球内部への水の輸送の仕組み。海洋底で含水化した海洋プレートは、沈み込む途中に上部マントルにその水の大部分を放出するが、一部の水はマントル遷移層まで届く。マントル遷移層に停滞しているスラブは、加温によって水を放出し、マントル遷移層に付加すると考えられる

高温高圧実験の結果から、マントル遷移層を構成する鉱物は、上部および下部マントルの主成分の鉱物に比べて多量の水を含める可能性が判明している。そのため、以前からマントル遷移層は地球内部の重要な水野貯蔵庫であると考えられてきた。また、実際に水に富んだマントル遷移層が、全球規模で局在的に存在していることも、地球物理学的観測によって判明している。

しかし、マントル遷移層を構成する鉱物を直接入手することは非常に困難なため、このような「水の貯蔵庫」がどのぐらいの期間にわたって存在し続けているのかについては、明確になっていなかった。

これまでの観測から、中国北東部(画像2・a)の地下に存在するマントル遷移層には多量の水が含有されていることが判明している。また、地震波の伝わる時間を利用して地球内部の3次元的な速度構造を求める「地震波トモグラフィ解析」によって、マントル遷移層に沈み込んだ太平洋プレートが滞留し、マントル遷移層からマントル上昇流が立ち上がっている様子も確認された(画像2・b)。

画像2。aは、今回の研究で解析を行った火山岩の分布を示したもの。bは、研究対象地域の地下のP波速度構造。bのA-BおよびC-Dの断面は、aの地図中の垂直に交わる2本の点線と同じだ。bのマントル遷移層中における青色の領域は、同層に滞留している沈み込んだ太平洋プレートを表す。Tianchi火山の直下では、マントル遷移層からマントル物質が上昇している様子がわかる。なお、bの図は、東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻教授の趙大鵬氏の論文(Zhao et al., 2009, Physics of the Earth and Planetary Interior, 173, 197-206)から引用、一部改変したもの

そこで、マントル遷移層に由来する物質の化学的特徴を明確にするため、マントル上昇流の直上付近に分布する火山岩について、化学組成を解析。結果、マントル遷移層に由来する物質の化学組成を説明するためには、現在沈み込んでいる太平洋プレートだけでなく、10億年以上前の原生代に沈み込んだ海洋プレートに由来する物質の関与が必要であることが判明した(画像3)。

画像3。中国北東部の火山岩の鉛同位体組成。上昇流の直上に位置するChangbaishan地域の鉛同位体比組成の特徴を説明するためには、現在沈み込んでいる太平洋プレートとともに、10億年以上前に沈み込んだ海洋プレートに由来する物質の関与が必要

さらに、そうした痕跡を残すためには、原生代に沈み込んだプレートから放出された水を主成分とする物質がマントル遷移層に供給・固定され、さらにそれ以降、その領域が周囲と相互作用することなく存在し続ける必要があることもわかったのである。

こうした結果から、「中国北東部下のマントル遷移層が特に水に富んでいるのは、現在の太平洋プレートと原生代に沈み込んだ海洋プレートの両方から水が供給されいていたためであること」と、「原生代に水を固定したマントル遷移層は、10億年以上もの間、地球内部の水の貯蔵庫として安定して存在していたこと」の2点が判明した。

今回の成果は、マントル遷移層の水の貯蔵庫としての履歴に時間軸を挿入することが可能であることを証明。今後は、世界各地の適切に選択された火山岩を対象にして、今回と同様の手法で研究を進めることにより、水の惑星である地球の進化について、さらに定量的・実証的な理解が進められるようになるとしている。



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