近藤科学は2011年9月中に4脚の新型ロボット(組み立てキット)2点と、樹脂ギアを搭載した新型サーボ1点を発売する。新型ロボットは、先に発売した6脚型の「KMR-M6」とパーツ類が共通の「KMR-P4」と、同社の多脚型第1弾として人気を集めたKONDO ANIMALシリーズの「カメ型ロボット01」のリニューアル版「カメ型ロボット02」の2台。そして新型サーボは、ピニオンギヤを除く全段に樹脂(ナイロン)製ギアを使用した「KRS-2542HV ICS」だ。

まずKMR-P4(画像1)から紹介すると、その特徴の1つがリンク機構式の脚部を採用していること(画像2)。しかも、樹脂製のパーツでリンク機構が組まれているので、垂直に脚部を降ろすという動作も容易に行うことが可能だ。ちなみに、リンク機構とは電車のパンタグラフなどに採用されている仕組みのことで、近年、自作のホビーロボットでは脚部に採用する機体が増えている。2足歩行の場合はヒザにサーボを搭載せずとも歩行することができ、また少ないパワーで歩行させられ、なおかつ歩行時の安定性も持たせられるというメリットも持つ。さらにサーボ数を減らせることによるロボットの重量軽減や省電力化、製作費用の抑制になどにもつながるといったメリットも持つ。

KMR-P4。リンク機構の脚部を備えた4脚型ロボット。体型はクモのようだが、足は4本しかないので、ロボットならではのデザイン

少ないサーボで動かせるリンク機構。軽量化、サーボ数を減らせることによる低価格化などのメリットがある

KMR-P4の場合、リンク機構により動作プログラムがシンプルとなり、歩行モーションの作成が容易というメリットを有する。さらにスプリングを内蔵しているので、本体にかかる衝撃や振動が吸収され、サーボモータにかかる負荷が軽減される具合だ。

そして特徴の2つ目は、同じく9月中に発売となる樹脂製サーボモータ「KRS-2542HV ICS」を使用していること(計8個)。KMR-P4のPは、樹脂=プラスチックを意味しているのだ。樹脂ギア搭載サーボの魅力は軽量な点で、これによりKMR-P4も重量が軽くなっている。また、同サーボのケースサイズは金属ギア製の「KRS-2552HV ICS Red Version」(KRS-2552HV)と同じなので、トルクや強度を求める場合は容易に交換できるという設計だ。なお後述するが、KRS-2542HV ICSはシリアル通信対応で配線の少ないデイジーチェーン接続が可能。少ないケーブル類で取り回せるようになっている。

さらに、メンテナンス性の高い設計も特徴の1つ。バックパックには頭脳であるコントロール(CPU)ボード「RCB-4HV」や各種センサ類、電源スイッチなどを収納可能だ。しかも1タッチで開閉でき、メンテナンスも容易。また、バックパックの下にはバッテリを搭載できるようになっている。バッテリカバーはロックを外すだけで簡単に着脱でき、キットにはニッケル水素バッテリ(10.8V、800mAh)とAC急速充電器が付属。

そのほか、ジャイロセンサ、加速度センサ、PSDセンサなども搭載でき、性能アップや自律化などにも対応可能だ。そして初心者でも容易に扱えるモーション編集ソフト「HeartToHeart4」も付属で、専門的なプログラミング言語を使わず、しかもマウス操作のみでモーションを作成できる。ロボットの各関節角度を設定したパネルを組み合わせるだけでモーションの作成が可能という仕様だ。

価格はオープンだが、参考価格は4万9875円となっている。

続いては、「カメロボ02」ことKONDO ANIMALシリーズ「カメ型ロボット02」(画像3)。基本は前作のカメロボ01で、同じくロボット製作の入門用に向いたロボットキットだ。

サーボがKMR-P4と同じ最新の樹脂ギア製「KRS-2542HV ICS」に変更された点が大きく変わったところ。同サーボは、頭部を動かす分もあるので、キットにはKMR-P4よりも1個多い9個が入っている。コントロールボードも変更され、「RCB-3HV」からシリアル通信専用のRCB-4HVになった。

カメロボ02の特徴は、なんといってもその動きのかわいさ(画像4)。脚部が名称の通りに亀のように短いため、歩行時の安定性が非常に高いというメリットがあると同時に、シャカシャカとかわいい動きができるというわけだ。そのほか、メンテナンス性の高さ、各種センサが搭載可能なこと、HeartToHeart4が付属していることなどはKMR-P4と同様となっている。

KONDO ANIMALシリーズ第2弾となるカメ型ロボット02。第1弾が好評で限定100台が完売となったため、要望に応えて新たにカメロボ02が登場したという次第だ

非常に愛嬌のある機体で、歩くだけでも短い足をシャカシャカと動かしてカワイイ。なおかつこうした腹ばいなど、市販機体の中では1、2を争う機体といえよう

価格はこちらもオープンで、参考価格は4万9875円。

最後は、前述した2台のロボットに搭載されている新型サーボKRS-2542HV ICSについて(画像5)。既に発売中のKRS-2552HVの金属ギアの内、ピニオンギヤを除くギアをすべて樹脂製にしてあるのが特徴だ(画像6)。耐久性やトルクの面では金属ギア製に劣るが、軽量な点、安価な点がメリットとなっている。

ケースはすでに発売中のKRS-2552HVと同じ。そのため、すでにあるロボットでもサーボだけ差し替えればよく、周辺のパーツ類の変更の必要はない

内部構造。ギアがすべて樹脂製となっており、軽量かつ安価な点が魅力。ただし、耐久力やトルクは金属ギア製と比較すると劣るので、負荷がかかったりトルクを必要としたりする関節にはKRS-2552HVを使用し、適材適所で組むのがベスト

通信規格には「ICS3.5」を採用。対応している近藤科学製のコントロールボードとしては、前述の2台が搭載するRCB-4HVのほか、「KCB-1」、PMW通信対応のRCB-3HV、「RCB-3J」、「RCB-1HV」などとなっている。

また、通信モードは出荷時はシリアルだが、RCB-4HVなどのコントロールボードに付属する「ICS USBアダプターHS」と、同社サイトからダウンロードできる「ICS3.5シリアルマネージャー」を使用することで、PWMモードに変更することも可能だ。そのほか、車輪に利用する際に便利な回転モードへの設定や、各種スペックの調整もできるようになっている。

価格はオープン価格となっており、単品の参考価格は5775円、10個セットの参考価格が4万6200円となっている。ちなみにKRS-2552は単品で参考価格が7350円、10個セットで5万9325円となっており、ロボットの製作費用を下げたいときにはかなりお得となるのがわかるはずだ。