間もなく登場が噂されるiPad 2やiPhone 5を巡って、同製品にコンポーネントを提供する部品サプライヤの最終リストアップが完了しつつある。先日、台湾Digitimes紙が地元Economic Daily News紙の報道を引用して紹介したところによれば、iPhone 5のイヤフォン供給で日本メーカーに代わり新たに台湾メーカーが追加され、部品調達コストが日本より安い台湾など他国のメーカーへと移りつつある様子が紹介されている。

Appleの次世代デバイスでは、こうした部品の日本離れが顕著になっていると指摘するのがElectronistaだ。同メディアではEconomic Daily Newsの報道を引用し、iPhone 5におけるパーツの大半が日本から台湾にシフトしているという。例えば、イヤフォンジャックを供給していた日本のフォスター電機に代わり、新たにFoxconn子会社のFoxconn Electronicsをサプライヤに採用している(Foxconnは台湾Hon Hai Precisionのブランドの1つで、iPhone製造を担当する)。このほか、Foxlink、Gold Circuit Electronics (GCE)、Epistarなどが新たにiPhoneサプライヤに追加されており、前述のイヤフォンジャックに加え、基盤やLEDライトなど、さまざまなコンポーネントで置き換えが進んでいるという。この理由については「より価格影響力のいい供給元を選ぶ」との判断で行われており、日本の円高に起因するものだというのがElectronistaの主張だ。

こうしたコスト削減を進める理由の1つに、iPhone 5では以前のバージョンに比べて総コスト(BOM)が高くなる傾向にあることが指摘されている。その原因の1つが噂されるQualcommのCDMA/GSM両対応デュアルバンドベースチップの存在で、さらにA8などの名称で噂されるデュアルコアプロセッサの採用がコストをさらに押し上げるのではないかと考えられている。

また日本から台湾へのシフトが容易になった理由の1つに、特許侵害による輸出障害をクリアしつつあることも挙げられる。例えばLEDメーカーのEpistarは先日、Appleのサプライヤに新たに参加したことが報じられているが、これは日本の豊田合成との提携で同社の特許へと触れるようになり、こうした提携が台湾メーカーの業容拡大に結びついているというのがEconomic Daily Newsでの分析だ。またiPhoneの出荷が伸びたことで部品の供給力不足も見られるようになり、既存のCompeq ManufacturingやUnimicron Technologyだけでなく、新たに基盤メーカーにGCEを追加している。

こうした既存の部品サプライヤのシフトが続く一方で、先日の日本経済新聞での報道にあるように、東芝とシャープがそれぞれ12億ドル規模の投資を行い、Apple向けの小型液晶提供に向けた提携を行ったことが知られている。これら液晶が採用されるのはiPhone 5かそれ以降の世代の製品となるが、前回のiPadがLGの液晶供給問題で製造につまずいていたように、Apple側が供給不足問題を解消すべく、セカンドソースとなるサプライヤをかき集めていることに起因するとみられる。LGはすでにAppleへの液晶パネル提供で5年契約を締結しているといわれており、すぐに日本へのシフトが起きるのではなく、あくまで供給元を増やす形になるようだ。