米Intelは11月1日(現地時間)、同社が現在建設中の22nm製造プロセスのFabで半導体の委託製造業務を行う計画であることを認めた。これは同日にFPGA (Field Programmable Gate Array)メーカーの米Achronixが発表したリリース(PDF形式)を受けたもので、同社としては初の試みとなる。

Intelは長らく、自社で開発したプロセッサを自社のFabで製造するという内製体制を守ってきた業界でも希有なメーカーの1つとして知られている。NVIDIAやAMDのように、業界ではプロセッサの設計のみを行う"ファブレス"と呼ばれるメーカーが数多く存在する。一方で実際の製造を行うのは、それを契約として受託するTSMCやIBMのようなメーカーだ。IBMでは自社のプロセッサを自社Fabで製造する一方、製造ラインの一部をこうした受託業務に利用しており、ファブレスメーカーが最新プロセスを利用できる仕組みを提供している。一方でIntel自身はプロセッサ製造を外部には委託せず、自社のFabはすべて自社製品の製造のみに利用し、最新プロセスで製造された製品を市場に投入することで他社との差別化を図っていたといえる。前者の外部製造委託については昨年2009年に発表した台湾TSMCへのAtom IPライセンスで慣例が崩れたものの、後者については今回の発表までその戦略を堅持していた。

Achronixの今回の発表によれば、2011年稼働が見込まれるIntelの22nm Fabを利用したFPGAの製造が可能になり、これで提供が行われる「Speedster22i」は他の製造プロセスを利用した競合製品よりも4倍のパフォーマンスに半分の電力消費、40%のコスト削減が可能になるとうたっている。IntelではこのAchronixの発表を受けて、同社広報のBill Kircos氏がBlogで今回の提携が非常に極小であることを改めて強調している。Kircos氏は、最新プロセスFabへのアクセスはあくまで限定的にAchronixへと提供されたもので、一般に受託製造業務をスタートさせたものではないという。また製造されるFPGAもごく少量であり、Fabのキャパシティ全体からみればわずかな割合でしかない点を強調する。

こうした一連の変化は、Intelは公にこそアピールしていないものの、同社自身が最新製造プロセスでの優位をどう活かし、かつ同社のエコシステムを広げてポストPC時代をどう生き抜いていくかを模索する過程にあることを示しているのかもしれない。