英ARMと米Trident Microsystemsは、オランダ・アムステルダムで開催されたIBCにおいて共同で、次世代STB向けのプラットフォームを開発・提供することを明らかにした。

同プラットフォームは、Web 2.0とTV放送の両方に対応しており、エンドユーザーにTVプログラムの視聴やリッチインターネット体験、ウェブサイトの閲覧、様々なコンテンツの共有といった事をシームレスに可能にするものとなる。このプラットフォームはまた、単に優れたホームマルチメディア環境を可能にするだけではなく、コンテンツ製作者や配信会社のARPUや広告収入を最大化できるようなパッケージ提供を可能にすることも目的としている。

今回の提携により提供されるプラットフォームを使う事で、Interet接続STBを容易に作成することができるようになる。TridentはすでにARM Cortex-A9プロセッサをベースに、45nmプロセスを使ったSTB向けに最適化したSoCをリリースしており、ブロードバンド接続による広帯域ストリーミングと放送コンテンツの処理に必要な性能を備えている。しかしながら現在コンシューマ製品では、家庭内のみならず車内やモバイルなどのシーンで、混在する異なる画面サイズのデバイスで、一様にコンテンツが視聴でき、かつ共有できることが求められつつある。このため、Cortex-A9上で動作するSTB用のソフトウェアを、他の用途向けに再利用することが求められるようになってきた。

こうした状況を鑑みて、Intenet接続STB向けのソフトウェア開発は以下の様な広範なエコシステムで構成されるようになってきている。

  • Cortex-A9を搭載したTrident STBプラットフォーム上で動作するQtは、モバイルから家庭向けまで一環したユーザーエクスペリエンスを提供する。QtにはブラウザとQtWebKit上で動作するウィジェットが含まれ、ARMアーキテクチャでの動作に最適化されている。
  • QtはまたMeeGo向けフレームワークにも移植されており、すでにCortex-A9プラットフォームで大部分の作業が終了している。
  • ActionScript3.0とJITを含むAdobe Flash Platform for Digital Homeのコアランタイムとプラグインコンポーネントは、すでにCortex-A9向けの最適化が完了している。
  • Web 2.0の新しい標準となるHTML5はARMにより最適化が行われた。これはビデオ再生などの機能を持ち、次世代のWebサービスの基本となるものである。
  • ARMアーキテクチャ向けのGoogle Androis OSとARM Native Development Kit(NDK)が用意される。ここでARMはDalvik JavaアプリケーションフレームワークとAdobe Flash Player 10.1のWebプラグインで利用されるJITの最適化を行った。
  • 営利企業のLinaroはARM向けに低レイヤのソフトや開発ツールを提供しており、Linuxベースのディストリビューション開発を迅速にする事を可能にする。