iPadの2011年における累計販売台数が2800万台に達するという予測が出ている。これはあるアナリストが最新の投資家向けレポートで報告したもので、iPadのようなタブレット製品の存在が既存のPC、特に低価格ノートPCの販売動向に大きな影響を与えつつあるという。最近になって報告されているPC市場の不調は、一連のiPadブームが引き起こしているのではないかというのがこのアナリストの見解だ。

このiPadの2800万台予測を出しているのはUBS Investment ResearchのアナリストMaynard Um氏で、同レポートの内容はAppleInsiderが伝えている。同氏によれば、この2,800万台という予測は"非常に控え目なもの"としているが、実際にiPadの販売台数は発売開始から5ヶ月で700万台を突破している。当初の数ヶ月は商品供給量や提供地域が限られていたという条件付きの数字なので、当初の勢いが来年まで続くのであれば、確かに2,800万台という数字は荒唐無稽というわけではない。

Um氏の話にはいくつかポイントがある。まず、このようにiPadの販売が伸びたとして、Macの販売動向にはネガティブな影響をいっさい与えず、一方で既存のPC販売は大きな影響を受けることになるという。特にローエンドPCでは価格帯がiPadと重複することもあり、その影響が大きいようだ。ただiPad自体がPCの代替でないことはUm氏も認めており、こうした販売動向への影響がでるのはiPadがPC市場を侵食しているからではなく、本来PC購入に使われるユーザーの予算がiPadに向かうことで、結果としてPCの購入を諦める、あるいは購入時期をずらすといった結果に結びつくからだと予測する。昨今のDRAMスポット価格の下落についても、こうした形でDRAM需要の少ないiPadのようなデバイスが台頭している結果だという。

同レポートの狙いはAppleが投資に値する企業であることをアピールする点にあるが、Um氏は昨今の厳しい経済情勢において、ユーザーが引き続き購入を切望するような革新的な製品をリリースし続ける能力を持つ数少ない企業の1つがAppleであると強調している。同氏は今回のレポートのタイミングで、Apple株価の目標値を現在の340ドルから350ドルへと引き上げている。なお、Appleの株価は、9月9日(米国時間)時点での終値が263.07ドルとなっている。