情報通信研究機構(NICT)は2月8日、従来の光通信の限界を超えることが可能な新たな信号増幅原理を実証したことを発表した。
新原理は、2個以上の量子(光子や電子のような粒子)が、古典力学的には考えられない特殊な相関をもって結びついている状態である「量子もつれ」を活用したもの。量子もつれそのものは、減衰にきわめて弱く、伝送途中で増幅する操作が必要で、従来の光通信の限界を超えるためには、単一光子間の量子もつれのみならず、複数の光子を含んだ量子もつれの増幅が求められていた。
今回、NICTでは独自に開発した信号パルス内の光子をフィルタリングする技術を用いて、それぞれに最大10個程度の光子を含んだ2つの光パルス間の量子もつれの強さを増幅することに成功。EDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)などの従来の光信号増幅技術では限界があり、減衰した量子もつれを増幅することが不可能であったが、今回の原理ではその限界を超えて量子もつれを回復、増幅することが可能となる。
NICTでは、同技術は、与えられた送信電力を用いて最大の伝送容量を実現するために必須の技術としているほか、光を用いた量子計算にも重要な一歩となるとする。また、今後は信号パルス内の光子数を数10光子レベルまで増やすことができれば、将来ネットワークの中継点やノードで、実際に今回の原理を利用することができるようになるとするほか、ノード内でこの増幅原理と量子計算を組み合わせることで、最低電力かつ最大容量の通信ネットワークを実現することができるようになるという。
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