クラウド型のサービスを推進するGoogleは、Webを高速化する様々な試みに取り組んでいる。米国時間の11日、ソフトウエアエンジニアのMike Belshe氏とRoberto Peon氏が「SPDY」(読みはspeedy)という、アプリケーション層プロトコルのリサーチプロジェクトを明らかにした。
SPDYは、多重化ストリーム、リクエスト・プライオリタイゼーション、HTTPヘッダ圧縮などを用いて、Webのコンテンツの送受信におけるレイテンシを短縮する。Belshe氏らのグループは、すでにSPDYをサポートするWebサーバとGoogle Chromeのプロトタイプを完成している。ラボ環境におけるホームネットワーク(SSL)接続のシミュレーションでSPDYプロトタイプは、トップ100に含まれる25Webサイトを通常のHTTPよりも最大55%短い時間でロードしたという。
SPDYは、WebブラウザとWebサーバ間の通信を最適化するプロジェクトとして始まった。1996年以来、ブラウザ-サーバ間の通信プロトコルにはHTTPがWeb標準として定着している。Belshe氏らは「HTTPは十分にWebを支えている」と認めているものの、現状にとどまらずWebサイトとブラウザのさらなる可能性を引き出すために通信プロトコルの実験的な見直しに着手した。SPDYはまだ実際のユーザー環境においてパフォーマンスを評価できる段階ではないものの、同氏らはWebコミュニティとの情報共有に値すると判断。実験データを含む初期段階のドキュメント、およびコードを公開し、Chromium Google Groupを通じた評価・フィードバック提供を求めている。