Fujitsu Microelectronics Europe(FME)は、車載アプリケーション向けにDual APIX(Automotive Pixel Link) Linkを内蔵した新しいグラフィック内蔵SoC「MB86R02(Jade D)」を発表した。MB86R02はJadeシリーズのSoCの新製品であり、ARM926EJ-SコアにCoral PAグラフィックプロセッサを組み合わせた製品となる。
Dual APIX Linkを内蔵したグラフィック内蔵SoC「MB86R02」 |
製造プロセスは同社の90nmを使い、最大105℃までの動作温度と、SSCG(Spread Spectrum Clock Generator)、APIXテクノロジなどを内蔵したものとなる。
MB86R02の特徴の1つは、Inova Semiconductorが開発したAPIXをDualで搭載することである。これは車内でビデオ映像や周辺機器のデータをリアルタイムにPeer-to-Peerで伝送できる標準規格。この規格は車載機器に要求されるEMC基準をクリアできるもので、高性能ながらシステムコストを低く抑えることが可能だ。MB86R02は最大1Gbpsのリンク速度をサポートしている。
MB86R02がターゲットとするのはグラフィカルダッシュボード、ヘッドアップディスプレイ、オンボードナビゲーションシステム、リアシートエンタテインメントなどのほか、POSターミナルや産業向けの制御パネルなどの用途も考えられている。パッケージは484ピンのTEBGA(Thermal Enhanced BGA)で、3.3V(I/O用)、1.8V(DDR2用)及び1.2V(内部回路用)を必要とする。動作温度は-40℃~+105℃までとなっている。
CPUコアはJavaアクセラレータのJazelleを含むARM926EJ-Sで、16KBの命令/データキャッシュのほか、16KBのICTCM/DTCMとMMUを搭載する。このCPUコアは、主要なOSおよびミドルウェアをそのまま利用可能である。加えて、ETM9とJTAG ICEのインタフェース、8chのDMAと32ビットタイマも内蔵する。
動作周波数は320MHz(内蔵PLLで制御)であり、最大128MBのDDR2も320MHzで駆動するほか、Flash/SRAM I/F、復号化エンジン、CAN、MediaLB、ADC、I2C、I2S、PWM、SPI、UART、GPIO、および外部割込I/Fを搭載する。
Coral PAグラフィックプロセッサは、2D/3Dのアクセラレータを含むレンダリングエンジンにROP/Blend機能も持ち、ジオメトリ変換は浮動小数点演算で行われるなど、組み込み用途に必要とされるグラフィック能力を提供する。サポートされるパネルは320×240ピクセルから1280×768ピクセルまでとなっており、これを同時に2枚接続、独立に表示させることが出来る。
なお、MB86R02は2009年第4四半期中にサンプル出荷を開始するほか、専用の評価ボードとサンプルプログラムの提供も同時期に開始される予定である。