Fujitsu Microelectronics America(FMA)は、同社のJadeという名称で知られるグラフィックコントローラ統合SoC「MB86R01」が2010年にJaguarのレンジローバー向けVirtual Displayに採用されたことを発表した。このVirtual Displayは米Visteon Corporationによって開発・製造が行われている

グラフィックコントローラ統合SoC「MB86R01」のパッケージ外観

この12.3型のReconfigurable TFTディスプレイは従来の計器に代わるもので、仮想メータやメッセージセンタ、グラフィックディスプレイなどあらかじめプリセットした複数の機能をオンデマンドで切り替えて表示でき、ドライバの注意が散漫になる機会を減らす。このレンジローバーの"virtual cluster"は、Visteonのreconfigurable cluster platformを利用した、最新の製品となる。

MB86R01を搭載するグラフィックコントローラは、こうしたディスプレイを実現するのに必要な高解像度とハードウェア/ソフトウェア両面のスケーラビリティを兼ね備え、サードパーティのソフトウェアやツールでサポートされるという特徴を持つと同社は主張している。FMAとVisteonは、車載向けのVirtual image clusterを低コストかつソフトウェアの再利用が可能な形で実現するプラットフォーム確立に向けて共同で開発を行ってきた。MB86R01はこうしたダッシュボードやHUD(Head up Display)、あるいは後席のエンタテイメントシステムといった車両向けの高性能アプリケーションにむけて設計されている。

MB86R01でダッシュボードを構成した例

MB86R01はARM926EJ-S CPUコアに、富士通のMB86296ディスプレイコントローラの2D/3Dグラフィックコアを統合した製品であり、90nmプロセスで製造されている。内部メモリの動作周波数は320MHzで、320×234ピクセルから1024×768ピクセルまでの画面表示に対応する。また画面は独立にα値を制御できるレイヤ6つとαレイヤを搭載する。またYUV/RGB/ITU656その他に対応したビデオキャプチャユニットを2チャネル内蔵する。また、非常に幅広い、サードパーティ製を含めたRTOSやHMIツールに対応しており、またVisteonからはレンジローバー向けシステムの開発にも利用されたソフトウェアやグラフィック開発ツールが提供されるとしている。