Freescale Semiconductorは、コンシューマ機器および組み込みマーケット向けをターゲットに、同社のi.MXシリーズにミクスド・シグナル回路を統合した「i.MX233」を発表した。
電子ブックや携帯音楽プレーヤといった、グラフィック表示が必要なコンシューマ機器向けのSoC。その他の用途としてはVoIPのハンドセット、インテリジェンスリモコン、ホームアプライアンス、各種オーディオ機器や、あるいは産業用機器向けのユーザインタフェースなどが考えられている。
i.MX233は454MHz駆動のARM9コアに電力制御回路、タッチスクリーン付きLCDコントローラの他、USB Host/Device機能(PHYも内蔵)、SDIO、UARTやI2C/SPIポート、さらにオーディオCodecとA/Dコンバータ(ADC)、外部にNAND型フラッシュメモリを接続するためのメモリインタフェース(ECC付き)など統合する。
統合されるアナログおよびミクスドシグナルの回路は、同社が2008年に買収したSigmaTelの技術を用いたもの。i.MX233の場合、SigmaTelの技術は電力制御回路、オーディオCodecとADCに生かされている。またイメージ処理ユニットはVGAサイズの24bitカラー出力を可能にしており、リッチインタフェースを可能にする。さらに、オンチップのSDIOコントローラを使うことで、メモリカードI/Fを余分な外部回路なしに用意できるほか、Wi-FiやBluetoothなどのワイヤレス接続を利用することもでき、これらの機能を省パッケージに統合し、外部コンポーネントの必要性をなくしたことで、システムのEBOM(電子部品原価)や開発コストの削減が可能になっている。
i.MX233向けのマルチメディアCodecライブラリとLinux BSP(Board Support Package)はすでに入手可能であり、またWindows CEのBSPは今年中に提供される予定ほか、開発および評価のためのEVK(Evaluation Kit)も提供される。加えて、Allgo Embedded Systemsがi.MX233プロセッサをベースとしたWirelessメディアプレーヤのリファレンスデザインを開発している。これはネットワーク接続に対応したデジタルフォトフレームやワイヤレスミュージックプレーヤ、インターネットラジオといったアプリケーションを迅速に開発するためのソリューションとしてデザインされている。
i.MX233は民生機器向けと産業機器向けの両方の動作環境が用意される。開発ボードとソフトウェアを含む量産は2009年10月に予定されており、1万個あたりの価格は、128pinのLQFPパッケージで5.11~5.88ドル、169pinのBGAパッケージで6.03~6.79ドルを予定している。