10年前 - 1999年8月19日、NASAが誇る巨大宇宙望遠鏡のひとつ「チャンドラX線天文台(Chandra X-ray Observatory)」が稼働を開始した。以来、X線撮影による美しい画像を地球に届け続けている。今回紹介する画像は、そのチャンドラと、おなじみハッブル宇宙望遠鏡のコラボレーション - なんとも妖しくひかる"猫の目"の輝きである。

りゅう座の方向、地球から約3,600光年先にある「猫の目(キャッツアイ)星雲」。中央に青白く輝く星を数百万度の高温ガスが取り囲んでいる

「NGC 6543」とも呼ばれる猫の目星雲は、非常に構造が複雑な惑星状星雲で、その詳細はいまだ謎に包まれている。チャンドラが捉えたX線の青白い輝きは、それらを包むように存在するオレンジの部分と相関関係を成していると推測されるが、詳細は不明だ。ただ、惑星状星雲の中心部から、こんなにもX線があふれ出ているところが鮮明に撮影されたのはこれが初めてだという。

人間の目には映らない、宇宙に拡がるX線のダイナミックな動きを地上に伝え続けてくれるチャンドラ。その研究が進めば宇宙の進化をより正確に解き明かすことが可能だといわれている。稼働してから10年経ったチャンドラが、これからの10年に届けてくれるであろうおくりものに期待せずにはいられない。