自動車で起こるクラウド化 - IntelのIVIへの取り組みとGENIVIの役割

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自動車で起こるクラウド化 - IntelのIVIへの取り組みとGENIVIの役割

小林行雄  [2009/07/17]

Intelの日本法人であるインテルは7月17日、横浜のパシフィコ横浜にて同日まで開催されていた「AT International 2009(ATI 2009)」に合わせて記者向け説明会を開催。同社の自動車分野向けの取り組みと、同社が参加しているIVI(In-Vehicle Infotainment)向けアライアンス「GEVINI」の概要についての説明を行った。

インテルのマーケティング本部 エンベデッド&ストレージ製品マーケティング・マネージャーである石山康氏

インテルのマーケティング本部 エンベデッド&ストレージ製品マーケティング・マネージャーである石山康氏は、「第4世代インターネットの到来により、2015年にはあらゆるものがネットワークにつながり、その数は150億台に達する」との前置きをし、自動車も例外ではなく、ネットワークに接続され、ノードとして多くの情報を流すようになると語る。

「むしろ、自動車がインターネットの世界を変えていくとも考えられる」(同)とし、これまで車内と車外は別々の世界だったのに対し、インターネットの世界とつながることで、車内外ともにインターネットの世界を構成する1部分としての機能を担うようになるとする。

自動車がネットワークの1ノードとして活用される

自動車がインターネットに接続される際に、最も多く用いられるものと考えられるのがIVIである。IVIの機能を考えると、主として「ナビゲーション」「エンタテインメント」「サービス」などがあるが、「これらの機能は本当に新しいものとは言えない」(同)という。しかし、国内新車の大多数に搭載されるようになったカーナビは、その処理能力は高いが、ナビゲーションに特化しており、処理性能があまっていても別用途への展開は上手くいっていないのが実情となっている。

IVIのCPUパワーは使用されるアプリに比べあまり気味となっている

IVIへの機能要求としては、デジタルコンテンツへの対応、家電機能の統合、車外へのネットワーク接続、品質と価格の維持などがあるが、現状、こうした機能を搭載したカーナビの開発は、コスト開発負担が大きい。石山氏は、「それだけ性能が余っているのだから、より多くのことをやらせるべき」(同)とし、1つのアーキテクチャで多くのカーナビを製造することで、TCOの低減とより短い開発期間の実現を目標として立てることが可能となるとする。

そのため同社としては、ノートPCとMIDの間にIVI向けカテゴリを設置し、製品の最適化を行っているという。車載システム向けに最適化されたAtomの仕様は、温度が-40~+85℃に対応。AEC-Q100に対応し、ライフサイクルは7~10年で、DPMは50未満を目標とするほか、ボールピッチは1mmとしたという。

ノートPCとMIDの間にIVI用セグメントを設立

また、IVI開発用リファレンスも複数用意しており、この上にソフトウェアを搭載することで開発を進めることができるようになるとするほか、現行のAtomでもIVIとしての性能は十分に満たすことができるという。

Intelプロセッサ搭載IVIリファレンスデザインはすでに各種用意されている

なお、車外通信としては"クラウド"の環境へと進化していくものとの見方をしめした。「例えば、渋滞情報を受けて、それぞれの自動車に同じ情報を提示するのが良いことなのか。また、電気自動車(EV)が、各家庭で一斉に充電を開始することはその地域全体の電力需要としての問題はないのか。こうした問題に対し、いくつかのノード間で協調していく必要があり、その要となるのがクラウド」(同)だと指摘する。

リファレンス以外にもさまざまな領域でサポート環境を用意することでエコシステムを構築

オープン化により開発コストを削減

石山氏は、「ITインダストリと自動車インダストリは、いずれの分野も優れた部分はあるが、大きな違いもある」と語る。そのため、IT側から自動車側に提案できることもあると考えられるという。例えば、とある自動車メーカーでは、USB搭載システムの端子ドライバを1からすべての機種に対して開発していたという。「最初に作る時は仕方ないかもしれないが、ほとんどの自動車にナビが搭載されるようになった現状でもそれを続けるのか、というのがIT側から見たときの疑問としてある」(同)とする。

インフォテインメントプラットフォームのオープン化により開発速度の向上とTCOの低減が可能になる

結果として、ITの分野でPC98規格がPC/AT互換機に置き換わっていったように、オープン化する部分はオープン化し、共通化を図ることで開発負担を減らすべきだとIntelでは考えているとする。

GENIVIアライアンスの概要

では、どこをオープン化するか、というと、OSやハードウェアといった分野をオープン化することで、差別化要因であるアプリケーションやユーザインタフェースの開発に注力できるという。そうしたビジョンを持って2009年3月に結成されたのが「GENIVI」であり、「オープンプラットフォームを活用することで、テストやハードウェア/プラットフォーム開発コストを下げることができ、その分をサービスやソリューションの開発に回すことができるようになる。結果として、ユーザやドライバに良いことに資金を使うことで、メーカーの価値を高めることができるようになる」(同)と、その意義を語る。

オープンプラットフォーム化によりテストコストやハードウェア開発コストを削減、その分を付加価値の向上が見込めるサービスやソリューションの開発へ充てることが可能となる

GENIVIには独BMW Groupや米General Motors(GM)など複数の自動車メーカーが"Founding Charter and Charter Members"として参加しており、「自動車メーカーと協力してスタンダードを作っていくことができる」(同)としており、同日開催されていたATI 2009のセミナーにおいて、日産自動車がGENIVIに興味を示していると発言しており、今後の動向を注意深く見守っていくとしている。

なお、ATI 2009の会場に出展していたベクター・ジャパンのブースでは、こうした取り組みに近い開発ツールとして、「CANoe」のオプション「CANoe.IP」のデモを展示していた。同オプションは、CANoeを各種インターネットプロトコル(IP)に対応させるもので、デモではIEEE802.11pを用いて、路車間通信をドイツにて行ったものを紹介していた。この路車間通信は、道路情報側から渋滞情報や工事情報のデータを自動車側に送信、自動車側からはGPSデータなどを道路情報側に送信することで、相互に渋滞情報などをリンクさせるというものとなっている。

ベクター・ジャパンの「CANoe.IP」のデモ(左のPCより道路側の情報として進行先の渋滞情報などを送信。送信には中央の日本ではまだ未認可であるIEEE802.11pを使用したネットワークボックスを経由する。右のPCが車両シミュレーションで、こちらからもGPS情報などを道路側に送る双方向通信となっている)

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