3月3日(月)は「世界野生動物の日」。野生動植物の保護の取り組みを強化することを目的として2013年に定められ、世界中でさまざまな啓発活動が行われます。

そこで、動物の生態を製品技術として取り入れ、暮らしにも環境にもやさしく快適なモノづくりを目指す「ネイチャーテクノロジー」の開発に取り組む家電メーカーのシャープに注目してみました。中には、絶滅危惧種の意外な生態に倣った事例もあるのだとか。

  • ネイチャーテクノロジーイメージ

今回は「世界野生動物の日」にちなんで、シャープのネイチャーテクノロジーの技術3選をイラストとともにご紹介。ぜひ、自然動物について考えるきっかけにしてみてください。

グルーミングのプロ!?毛深いラッコ×ヘアブラシ

水族館でも人気のラッコも絶滅の危機に瀕しています。そんなラッコが、愛くるしいルックスながら、思いのほか毛むくじゃらであることをご存知でしょうか?人間の髪の毛の本数が平均約10万本であるのに対し、ラッコは全身に約8億本もの毛が生えています。なんと、およそ800倍……!

そんな毛深いラッコは、活動時間の多くをグルーミング(毛づくろい)に費やしており、その手は効率良くグルーミングができるような構造に。出し入れできる爪で毛を整えながら隙間を作り、手のひらでもみ込むことによって、毛と毛の間に空気を送り込んでいるのです。

  • 手をみえるラッコ
  • 手を見せるラッコ

ちなみに、長時間のグルーミングのワケは、皮膚が冷たい海水に触れないよう、毛と毛の間に空気の層を作るため。毛が汚れると身体が濡れて凍死する恐れがあり、ラッコにとってグルーミングは、命を守る大切な行動なのです。

●ラッコの生態を活かして作られたシャープの「ヘアブラシ」

  • シャープヘアブラシ

そんなラッコの手のひらのシワと爪の特長を生かして生まれたのが、ヘアブラシです。ブラシ本数を増やせば仕上がりは良くなるものの、その分摩擦が増えて、毛髪へのダメージを与えることに……。

そこでシャープは、ラッコのグルーミングに倣って、形状や太さ・長さの違う3種類のピンを採用し、どの方向からでも髪に作用するように配置。髪の絡まりをスムーズにほどき、毛先への負担も軽減することに成功しました。

  • ヘアブラシとラッコイメージ

ラッコの手の構造をヘアブラシのピン形状や配列に活かし、ブラシ通りと仕上がりの良さの両立を実現したのです。

  • ヘアブラシ使用イメージ

ラッコ×ネイチャーテクノロジー について詳しく!

シャープのヘアブラシについて詳しく!

実は白くない!シロクマのもふもふとした体毛×冷蔵庫

シロクマも絶滅危惧種に指定されている動物です。正式名称は「ホッキョクグマ」でありながら「シロクマ」という愛称で親しまれている理由は、もふもふとした体毛が印象的な見た目。しかし、あの毛の色、実は白色ではなく、透明なんです!

  • シロクマ

シロクマが生息する北極圏の平均気温は-15℃~5℃で、冬の時期は-40℃にまで冷え込むことも。極寒の地で凍えないように大きな身体を温めるため、透明の毛で効率良く太陽の光を取り込んでいるのです。

  • シロクマとランプカバーの構造図

●シロクマの生態を活かして作られたシャープの「冷蔵庫LEDランプカバー」

  • シロクマとランプカバーイメージ

「夜間など冷蔵庫を開けたときに冷蔵庫内がまぶしく感じる」。ユーザーの声を受け、開発したのが「冷蔵庫LEDランプカバー」です。従来の方法では、まぶしさを抑えるには照度を下げる必要があり、庫内が見えにくくなるデメリットが指摘されていました。

そこで目を付けたのが、シロクマの毛。無色透明で、ストローのように空洞になっているシロクマの毛は、光を散乱させながら熱を取り込んでいることから、この構造を応用したのです。

  • シロクマとランプカバー構造イメージ

冷蔵庫内のLEDランプカバー中央部に凹形状の空洞を設け、直進的なLEDの光を多方向にやわらかく拡散。まぶしさを抑えつつ、奥まで明るい庫内を実現しました。

  • 冷蔵庫イメージ

シロクマ×ネイチャーテクノロジー について詳しく!

シャープの冷蔵庫について詳しく!

食事方法が器用すぎる!マンタのエラ×ドラム式洗濯乾燥機

最後にご紹介する絶滅危惧種は、マンタです。胸びれを羽ばたかせ、海中を飛ぶように優雅に泳ぐマンタの特徴は、大きな口。捕食するときは、大量の海水ごとプランクトンを一気に吸い込みます

ただ、ダイナミックなのは、ここまで。吸い込んでからはエラで海水を上手に分離し、プランクトンだけを効率的に捕食しているのです。なんとも緻密で器用な食事方法!

  • マンタ

●マンタの生態を活かして作られたシャープの「ドラム式洗濯乾燥機の糸くずフィルター」

長らくドラム式洗濯乾燥機では、糸くずフィルターのお手入れが課題でした。従来の排水フィルターは格子状で、糸くずが絡まると剥がせず、ユーザーから不満の声が届いていたのです。この課題解決に乗り出したシャープがヒントにしたのが、マンタのエラでした。

  • マンタと洗濯機イメージ

開発した「するポイフィルター」は、「鰓し(さいし)」と呼ばれるマンタのエラの付属器官を応用したものです。海水とプランクトンを分離する構造を模倣し、洗濯の排水時、ゴミだけをフィルターに絡まらないようにキャッチすることが可能となりました。

  • 糸くずフィルターの構造ビフォーアフター

マンタのエラでは、海水が通過すると内部に渦が発生し、プランクトンだけが分離されますが、するポイフィルターも同様の構造になっています。水がフィルターの隙間を通過する際に起きる渦により、糸くずだけが中に留まる仕組みです。

  • マンタのエラの構造イメージ

しかも、留まった糸くずの引っかかる向きが揃っているため、振ったり指でなぞったりするだけでスルッと取り除くことができるようになりました。

  • するポイフィルターイメージ

マンタ×ネイチャーテクノロジーについて詳しく!

シャープのドラム式洗濯機について詳しく!

自然動物から学び、地球にも人にもやさしい社会環境づくりを目指す

動物の生態をお手本にした「ネイチャーテクノロジー」を活用すれば、人々の暮らしがより良くなっていくことがおわかりいただけたのではないでしょうか。

自然界には、私たち人間が学ぶべきことがまだまだたくさんあります。これからもシャープは自然動物を見守り、地球にも人にもやさしい社会環境づくりに貢献していきます。

ネイチャーテクノロジーについて詳しく!

illustrator:うそうむそう