――メンタルの鍛え方についてもお伺いしたいのですが、瀬古総監督は“宗兄弟”のライバルというイメージがあります。ライバルを作ることで自分のモチベーションを高める、ということについてはどうでしょうか?

宗さん達は、私より4つ年上。4つ違うということは、1つのオリンピック分違うわけです。私が大学2年、まだマラソン選手として走り始めたばかりの頃に、宗茂さんは当時の世界歴代2位の記録を出したの。それも別府大分毎日マラソンという、2月のマラソンでね。びっくりしましたね。これは宗さんに勝ちたい、もし宗さんに勝ったら世界一なんだ、と思いました。

――国際大会で結果を出し続けるために、瀬古総監督が意識してメンタルを鍛えるというようなことはありましたか。

お寺へ行って座禅を何度かやりましたね。中村監督が禅を勉強されてたので、有名なお坊さんが書いた本があるんだけど、その本を読み聞かせてもらったりしました。

――座禅ですか! 意外です。

中村監督からも「瀬古、マラソンをやるんでしょ。なら、座りなさい」と言われて。でも実際にやってみると40分くらいで苦しくなってきますよね。早く終わりたいとか、足がしびれたとか。でもその間、それ以外にも色々なことを考えるんですよ。そういうのがいいんです。考えること自体がいい。忙しくしていると考えられないようなことを考える。座禅という文化は500年続いているわけです。我々もそういう「道」を歩みたかった。柔道とか剣道とかの「道」があるでしょ。自分たちはいつも「マラソン道」だと思ってやっています。

――監督は、現役時代に「修行僧」というあだ名もありましたが、まさに修行ですね。

当時は心理学的にとか、科学的にどうだとか、そういうのは全然ありませんでした。だからこそプラスになりそうなことは、全てやりました。宗さんたちも相当な量を練習してるし、私も宗さん負けないくらい練習していましたけど、それでは宗さんたちを越えられない。どこか違わないと。そこなんですよ。その違いが、気持ちになって最後の35㎞から出てくるわけです。「俺は大丈夫だ」っていう気持ちが湧いてくる。

――ほんとうに、まさに「道」ですね。

もう「巨人の星」の世界ですよね(笑) 科学的に見れば無駄かもしれないけど、そういうものが35㎞から40㎞になってくると甦ってくる。「大丈夫だ、絶対に宗さんたちは自分ほどはやってない」って思える。だから精神を鍛えるっていっても、そんなのは無理なんですよ。本を読んだって、そんなのは知識だけの話です。自分で経験した苦労というものがないと身につかないんです。それが自信につながって精神的にも絶対負けないぞということにつながっていくと思っています。

――トレーニングにおける食事についても伺えますか。羊かんを薄く切って食べていらしたとか。それはどういうことでしょうか。

食べていたのは、走る前ですね。走る前はお腹いっぱいになってはいけないので、ギリギリの量を食べるんです。例えば15時から30㎞を走るとするじゃないですか。そうすると3~4時間前の11時半ごろ昼飯を食べます。でもそうすると、走るまでの間にお腹が空いてきちゃうんですよ。でも食べ過ぎると太るし。そのときに消化がいいものを食べようということで、昔は羊かんを食べていました。今ならゼリーとかあるでしょ。30年前はそんなものなかったので。それで、どれくらいの厚さを食べられるか考えて、「今日は5㎜食べよう。この5㎜であと2時間くらい走るぞ」と思っていました。

――わかります。走っている時は甘い物が欲しくなります。

どうしても走ると糖分が欲しくなりますよね。途中でお腹が空いて走れないときもある。昔は栄養学も今ほど進んでいなかったので、奥さんが作ってくれた食事をすべて食べれば大丈夫と思っていました。だからサプリメントみたいなものは一切摂らなかったです。色々なビタミンのサプリメントが80年代に出てきましたが、そういうのは摂らないでおこうと決めていました。

パラチノースの有用性とは

ここからは、消化吸収速度が緩やかな天然の糖・「パラチノース」と、そのパラチノースが含まれる製品を三井製糖・担当の宮崎さんにご紹介いただき、瀬古総監督の目線でどのように感じられたかを伺っていく。

【関連リンク】新たな食生活の到来!“スローカロリー”ってなんだ?

三井製糖 担当の宮崎さん(以下、宮崎):今回まずご紹介したいのが、最新の「ランナー向け羊かん」です。総監督からも、糖質を摂りたくて羊かんを少しずつ食べておられたというお話がありましたが、菓子メーカーの井村屋さんから発売されている「スポーツようかんプラス」という商品は、ランナー用に糖質を考えて開発されています。

瀬古総監督(以下、瀬古):なんかちょっと怪しいな(笑)

宮崎:いやいや!(笑) 塩分補給も必要ということで、塩羊羹がベースになっているんです。どうですか?