15周年を迎えたサイコム

高性能なこだわりのPCを求める人に多く支持されているサイコムは、非常に自由度の高い構成が選択できるのが特徴だ。決まった形のPCに対して一部パーツ変更を行うような一般的なBTOではなく、ほとんど全てのパーツを選択し、限りなく自由な組み合わせでPCを作り上げることができる。いわば、構成的には自作PCだが組み立て技術はプロのもの、というPCを作ってくれるメーカーだ。

インターネット通販のみで店頭販売などは行っていないため、どんなところでマシンが作られているのか気になるという人も多いことだろう。創業10周年という機会に社内体制などを過去に紹介したこともあるが、それから5年。最近は意欲的な取り組みも多く行っている同社に再度潜入取材を決行した。

サイコム社屋の前に立つ、サイコム代表取締役の河野孝史氏。ここで受注から組み立て、検証、出荷までの全てを行う

住宅地にある社屋で受注から発送までをこなすシステム

サイコムの社屋は、埼玉県八潮市の住宅地にある。それほど大きくはない社屋には、出荷前のPCと待機中のパーツの箱がぎっしりと並べられていた。二階に受付業務等を行う事務所を設置し、その同じ高さにロフト状に作ったスペースがパーツストックの場所となっている。

実際の組み立てや出荷準備を行うのは1階のスペースだ。発注を受けた後、組み立て作業に入りやすいように箱から出したケースを並べたエリアを入口に配置。内部では組み立てエリア、OS等のインストールから検証を行うエリアがわけられており、最後に出荷待ちのスペースに組み上がったPCが集められる。

組み立てが完了し、出荷を待つPCたち。同梱するパーツ類の箱とともに並べられている

組み立ては1人が1台を丸ごと担当する形で、流れ作業は行わない。構成の複雑さや個人の技量によって1日に組み立てられる台数は違ってくるが、1日あたり100台程度を組み立てた実績があるという。1人が責任を持って組み立てるという形は以前から変わらないが、最近特に気をつかうようになったのが配線部分だという。

組み立て作業場の中央に、組み立て待ちのケースとパーツが並べられ、両側に並んだ机で1人が1台を最初から最後まで責任を持って組み立てる方式を採用している

手際よく組み立てる速度はかなりのもので、少数スタッフながら1日あたり100台の出荷を可能にしている

「以前からエアフローを考慮してきちんとケーブルを整理するようにはしていたのですが、最近は特に気にされる方も多いので裏配線を行っています。またケーブルをまとめる結束バンドもお客様自身で調整したいという声もあるので、ラッチがついていて調整が可能なリピートタイを導入しました」と語るのは、組み立てスタッフの中で最も長く勤めているという小野信介氏だ。さらに配送時にずれるなどトラブルが起こりやすい部分である、光学式ドライブのケーブルについては脱落防止用のシールを貼付するなど、工夫を重ねている。

組み立てスタッフの中で最もベテランだという小野信介氏

ケースの裏側に配線を通す裏配線で、見映えよく、エアフローのよい組み立てを心がけている

取り外しや締め直しが可能な、ラッチつきのリピートタイ。ケーブルの結束に利用することで、購入後のユーザーが微調整できるようにしている

輸送時に脱落しやすい光学式ドライブのコネクタ部分には、脱落防止のシールを貼り付けてトラブルを防止

脱落防止用シールもオリジナルで製作。こまやかな気づかいでユーザーを支える

「最近採用して、かなり評判がいいのはCPUクーラーに入れたロゴです。実はこのカバー部は簡単にはずれるのでロゴをプリントしたパーツと取り替えているだけなのですが、特別感がありますよね。サイコムのファンだと言ってくださる方にも気に入っていただけているようです」とプロダクトマネージャーの山田正太郎氏は語る。

プロダクトマネージャーの山田正太郎氏