今シーズン、インテルからは"Haswell"のコードネームで知られる第4世代Coreプロセッサー、AMDからは"Richland"と呼ばれてきたA-Series APUの新製品が登場した。パワーユーザーから評価の高いBTO PC「eX.computer」を開発・販売するTSUKUMOも、これらの新しいCPUを搭載したデスクトップPCを続々と発売している。今回は、新型CPUの登場で「買いどき」を迎えたeX.computerの注目モデルを、実機レビューを交えながら一挙に紹介しよう。

最新世代のCPU+ビデオカードで、ゲームがぐんと快適に

インテルから発表されて以来、PCパーツ市場で大きな話題となっている"Haswell"こと第4世代Coreプロセッサー。eX.computerのゲーマー向けPC「G-GEAR」でも全面的に採用が進んでいる。

今回、紹介する「G-GEAR GA7J-E51/E2」は、Core i7-4770(動作周波数3.4GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大3.9GHz)と、NVIDIAの最新ビデオカード「GeForce GTX 760」を組み合わせたミドルタワー型のPCで、119,980円というリーズナブルなプライスながら、最新のゲームも快適に動作可能なスペックを備えている。

eX.computerのゲーマー向けモデル「G-GEAR GA7J-E51/E2」

では、今のタイミングで新しいPCに買い替えると、PCの動作は、そしてゲームはどれくらい快適になるのか。今回は、現在使用しているユーザーが多いと考えられる、"Sandy Bridge"こと2世代前の第2世代Coreプロセッサー搭載PCと、最新製品のG-GEAR GA7J-E51/E2を比較し、買い替え効果の検証を行ってみた。比較対象となるのは、Core i7-2600(動作周波数3.4GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大3.8GHz)と、同時期のゲーマー向けPCで多く採用されたGeForce GTX 460を装備したマシンで、2年半ほど前によく見られたスペックと比べる格好だ。また、当時Windows 8は未発売なので、比較対象機にはWindows 7 Home Premiumを導入した。

比較した機種のスペック
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460
CPU Core i7-4770 Core i7-2600
ビデオカード NVIDIA GeForce GTX 760 NVIDIA GeForce GTX 460
マザーボード ASUS H87-PLUS(インテルH87 Express) インテルDH67BL(インテルH67 Express)
メモリ PC3-12800 DDR3 8GB PC3-12800 DDR3 8GB
HDD 1TB(シリアルATAIII、SATA 6Gbps対応) 1TB(シリアルATAIII、SATA 6Gbps対応)

CPUだけでなくビデオカードも以前の世代のものを使用。左が新製品に搭載されているGeForce GTX 760、右が比較対象の同GTX 460

まずWindowsエクスペリエンスインデックスだが、従来機も悪くはなかったがHaswell+GTX 760マシンではHDD以外すべて8を超えるスコアとなっており、2年あまりの間に着実な進化を遂げたことを思わせる。

新製品(左)では、Windowsエクスペリエンスインデックスの値がHDDを除きすべて8以上に

Windowsエクスペリエンスインデックス
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460
プロセッサ 8.1 7.6
メモリ 8.1 7.6
グラフィックス 8.1 7.5
ゲーム用グラフィックス 8.1 7.5
プライマリハードディスク 5.9 5.9

続いてCINEBENCHだが、グラフィック機能のOpenGL処理能力が4割増、CPU性能が2割増となっているほか、TMPGEnc Video Mastering Works 5による動画のエンコード(※)も2割以上のパワーアップとなっている。(※:1440×1080/60i、H.264、約15Mbpsの10分間の映像を、1280×720/30p、H.264、約5Mbpsに変換)

グラフィックスカードの違いによるOpenGLのスコアが大きく違うが、CPUも着実に強化されている(左が新製品)

CINEBENCH R11.5
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
OpenGL 74.49fps 52.79fps 141%
CPU 8.04pts 6.81pts 118%
TMPGEnc Video Mastering Works 5
Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
336秒(5分36秒) 418秒(6分58秒) 124%

円周率計算でCPUのシングルスレッド処理の性能を測る「スーパーπ」は、かつて標準だった104万ケタでの計測では差が1秒以内に収まってしまうが、計算ケタ数を1677万ケタまで増やすと、HaswellとSandy Bridgeとの間で1割程度の違いを確認できた。今回使用したCore i7-4770とCore i7-2600では、動作周波数はターボ・ブースト機能利用時の上限値が0.1GHz違うだけで、割合にすると約2.6%の差だが、それを上回る性能向上を確認できた。

スーパーπでも新旧プラットフォームの差を確認することができた(左が新製品)

Super PI Ver 1.1
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
104万桁 9秒 9秒 100%
419万桁 47秒 49秒 104%
1677万桁 228秒(3分48秒) 250秒(4分10秒) 110%

肝心のゲームだが、これはグラフィックスカードが変わったことにより大きくパフォーマンスが伸びており、「ファンタシースターオンライン2」の高解像度・高画質設定では実に3倍以上の性能を発揮している。GeForce GTX 460から同GTX 760ではアーキテクチャがFermiからKeplerへと変わっていることもあり、性能に対する消費電力も下がっていると考えられる。

3DMark 11 Performanceプリセット
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
3DMark Score P8062 P3511 230%
Graphics Score 8022 3193 251%
Physics Score 9257 8152 114%
Combined Score 6980 3177 220%
3DMark 11 Extremeプリセット
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
3DMark Score X2814 X1104 255%
Graphics Score 2555 981 260%
Physics Score 9257 8161 113%
Combined Score 3184 1287 247%
ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 動作検証
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
簡易設定3・1280×720 46716 17245 271%
簡易設定5・1920×1080 11942 3555 336%
ファイナルファンタジー XIV 新生エオルゼア ベンチマーク ワールド編
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
1280×720 標準品質 18302 11652 157%
1920×1080 標準品質 13262 7238 183%
1280×720 最高品質 9972 5976 167%
1920×1080 最高品質 6332 3227 196%

最後にストレージへのアクセス性能だが、今回はG-GEAR GA7J-E51/E2と比較対象機で同一のHDDを使用したため、ソフトのインストールや起動、圧縮ファイルの展開時などで体感的な差は感じられなかった。シーケンシャルリードは新世代、4Kランダムライトは旧世代のほうが優れていたが、これはハードウェアよりはOSの違いによるものかもしれない。いずれにしても、現在パワーユーザーの間ではOSやソフトウェアはSSDにインストールするのがほとんど常識だ。2年前には「SSDは自分にはまだ早いかな……」と考えていたユーザーにも導入しやすい価格帯になってきたので、PC買い替えの際には、ぜひBTOオプションでSSDを追加してほしい。HDDの数倍のスピードでファイルの読み書きが可能となり、システム起動時間もグンと縮まるはずだ。

ストレージ性能は体感できる差ではなかったが、現在はSSDが主流になりつつある。BTOオプションでSSDを選択し、快適さを高めるのがオススメだ(左が新製品)

CrystalDiskMark 3.0.2f
   Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
シーケンシャルリード 215.0MB/s 179.1MB/s 120%
シーケンシャルライト 161.0MB/s 168.6MB/s 95%
512Kランダムリード 73.96MB/s 76.83MB/s 96%
512Kランダムライト 166.3MB/s 167.7MB/s 99%
4Kランダムリード 0.936MB/s 0.952MB/s 98%
4Kランダムライト 1.431MB/s 2.147MB/s 67%
4Kランダムリード QD=32 2.435MB/s 2.666MB/s 91%
4Kランダムライト QD=32 2.029MB/s 2.230MB/s 91%
システム起動時間
Haswell+GTX 760 Sandy Bridge+GTX 460 新旧比
45秒 51秒 113%

老舗BTOメーカーならではのうれしいポイント

G-GEARデスクトップPCの筐体が持つ特徴は少し前の記事で詳しく紹介したので、今回は簡単におさらいしておこう。

ゲーマー向けPCというと、派手な装飾が施された大型のケースを採用する製品も少なくないが、G-GEARシリーズはあくまでスマートで、シンプルで飽きの来ない外観となっている。ミドルタワークラスのサイズで、特に大型のケースではないが、内部にはパーツの増設やメンテナンス作業のための十分なスペースが確保されており、購入後にもユーザー自身でカスタマイズを加えながら長く使い続けることができる。フロント、リア、サイドの各パネルには多数のエアホールが設けられ、夏場の連続稼働時も安定した動作が可能だ。

フロントパネルは大部分がメッシュ素材となっており、大口径の120mm吸気ファンも装備

また、これはeX.computer製品に共通した特徴だが、注文時のBTOメニューでは、カスタマイズ可能なパーツのほとんどで、スペックに加えメーカー名が明記されている。電源ユニットや光学ドライブに至るまで"指名買い"できるようになっているので、「自作するほどの手間はかけたくないが、ひとつひとつのパーツのブランドにはこだわりたい」という上級者も安心してオーダーすることができる。

内部は整然としており、手を入れての作業も行いやすい

天板の手前側には滑り止めのラバーがあり、スマートフォンやメモリーカードなどちょっと小物を置いておくのに便利

HDDベイはホルダー式で着脱も簡単

背面。拡張スロットのカバーにもエアホールが設けられている

とはいえ、コアゲーマーをうならせるほどのスペックを、すべてのユーザーが必要としているわけではないのも確かだ。メーカー製の確かな品質は求めたいが、価格も設置スペースももう少しコンパクトに抑えたいというユーズに対して、何か答えはないのだろうか。もちろん、eX.computerはコストパフォーマンスを重視する堅実派ユーザーにも選択肢を用意している。次のページで詳しく紹介しよう。