長時間点灯だからこそLED電球

店舗のショーウィンドウやカウンター、商品の展示棚などの照明には、E11口金のハロゲン電球がよく使用されている。店舗全体の照明ではLEDダウンライトや直管LEDなどが普及しつつあるが、商品ディスプレイ用の照明はそれらに比べるとLED化が遅れている分野だといえる。ハロゲン電球に近い明るさと演色性能を持つLED電球がまだまだ少ないというのが、その大きな理由だろう。とはいえ、家庭用よりも点灯時間の長い店舗用照明にこそLEDを使いたいところだ。これは消費電力を下げるという意味だけではない。電球自体の価格の問題も大きなポイントなのである。

ユニティが新たに発売するE11ソケット対応の「Luminoa LDR6L」シリーズ

一般的なハロゲン電球の定格寿命は、3,000時間程度だ。また、50W形の場合だと価格は定価ベースで2,400円程度で、量販店などでは1,980円ほどで販売されている。それに対して、一般的なE11口金対応ハロゲン電球互換のLED電球の価格は4,000~5,000円といったところだろうか。定格寿命は、多くの製品が3万時間程度とハロゲン電球の10倍ほど。家庭向けの白熱電球とLED電球のケースと比較すると、交換対象の電球との価格差が少なく、長寿命化によるコストメリットが非常に大きいのだ。

さて今回紹介するのは、ユニティが「Luminoa」ブランドからリリースするLED電球「LDR6L」シリーズ。E11ソケットに対応したハロゲン電球互換のLED電球で、11月に発売された新製品だ。ビーム角20度の中角タイプと、36度の広角タイプが用意されている。いずれも明るさは400lm(ルーメン)で、消費電力は6.4Wだ。色温度は2700Kで、演色性を示す「Ra」は80となっている。最大の特徴は、このタイプとしては異例ともいえる5万時間の定格寿命だ。製品には購入日から3年間の保証も付いている。

商品ディスプレイに必要なのは絶対的な明るさではなく、コントロールされた明るさ

商品ディスプレイ用の照明では、単純に明るさが求められるのではなく、意図したライティングを実現できなければ十分とはいえない。E11ソケットに対応したLEDハロゲン電球は果たして、ハロゲン電球と差し替えてもデザイン面で問題は生じないのだろうか。まずは、ビーム角と明るさについて検証したい。

左がハロゲン電球で、右がLDR6LシリーズのLED電球。口径はほぼ同じだ

同じく、左がハロゲン電球で、右がLDR6LシリーズのLED電球。LDR6Lシリーズのほうが約20mmほど長い

上の写真は、ハロゲン電球とLDR6LシリーズのLED電球を並べたものだ。口径はほぼ同じで、長さはLDR6Lシリーズのほうが20mmほど長い。つまり、同じ位置のソケットに差し替えた場合、LDR6Lシリーズのほうが光源が手前に来てしまうことになるわけだ。ハロゲン電球とLDR6Lシリーズとでは、光の拡がり方に差が生じるのではないかという心配がある。

次の写真は、ハロゲン電球とLDR6LシリーズのLED電球を、それぞれ80cmの高さに設置したソケットに取り付けて照らした範囲を表している。ランプは、【1】がビーム角20度の中角タイプのハロゲン電球で、【2】が同じビーム角のLDR6Lシリーズ、【3】がビーム角35度の広角タイプのハロゲン電球で、【4】がビーム角36度のLDR6Lシリーズだ。

【1】ビーム角20度の中角タイプのハロゲン電球の照射範囲

【2】ビーム角20度の中角タイプのLDR6Lシリーズの照射範囲

【3】ビーム角35度の広角タイプのハロゲン電球の照射範囲

【4】ビーム角36度のLDR6Lシリーズの照射範囲

まずはビーム角20度のランプだ。【1】の照射範囲は直径約65cmで、中心の最も明るい部分が直径約20cmだ。明るさは、中心部が2970lx(ルクス)で、外周部が140lxとなっていた。【2】では、照射範囲が直径約65cmで、中心部が直径約20cmだ。明るさは中心部が2900lxで外周部が350lxとなっていた。両者を比較してみると、照射範囲と中心の明るさに関してはほぼ同一で、外周の明るさのみが異なっている。これは照度計だけでなく、肉眼でも認識できるレベルだ。ハロゲン電球では中心部が明るく、外周部に向かって急激に光量が減っているのに対して、LDR6Lシリーズでは比較的周囲まで光が届いている。

続いて、ビーム角36度のハロゲン電球とビーム角35度のLDR6Lシリーズも見てみよう。【3】では、照射範囲が直径約75cmで、中心部が直径約35cmだ。明るさは、中心部が1410lxで、外周部が260lxとなっていた。【4】では照射範囲は直径約70cmで、中心部が直径約35cm。明るさは、中心部が1480lxで、外周部が200lxだった。こちらの場合も、照射範囲と中心部の明るさはほぼ同一で、外周部の明るさのみが異なっている。

次の写真は同じく、距離を40cmに近づけて撮影を行ったものだ。【5】がビーム角20度の中角タイプのハロゲン電球で、【6】が同じビーム角のLDR6Lシリーズ、【7】がビーム角35度の広角タイプのハロゲン電球で、【8】がビーム角36度のLDR6Lシリーズだ。

【5】ビーム角20度の中角タイプのハロゲン電球の照射範囲

【6】ビーム角20度の中角タイプのLDR6Lシリーズの照射範囲

【7】ビーム角35度の広角タイプのハロゲン電球の照射範囲

【8】ビーム角36度のLDR6Lシリーズの照射範囲

ビーム角20度のランプから比べてみよう。【5】の照射範囲は直径約38cmで、中心の最も明るい部分が直径約11cmだ。明るさは、中心部が15680lxで、外周部が510lxとなっていた。【6】では、照射範囲が直径約40cmで、中心部が直径約17cmだ。明るさは、中心部が12700lxで外周部が980lxとなっていた。

続いて、ビーム角36度のハロゲン電球とビーム角35度のLDR6Lシリーズだ。【7】では照射範囲が直径約38cmで、中心部が直径約13cmだ。明るさは、中心部が9000lxで、外周部が1710lxとなっていた。【8】では照射範囲は直径約40cmで、中心部が直径約18cm。明るさは、中心部が9000lxで、外周部が940lxだった。

LDR6Lシリーズでは、ほぼ光量が0の状態から100%の表対まで、連続調光が可能

いずれの場合も、距離が80cmの場合に比べて照射範囲の差が増えている。これは電球の長さの差による光源位置の違いによるものだろう。距離がある程度離れている場合に差が少なくなっているのは、おそらく実際に使用するシーンで照射範囲を合わせることを念頭に、ランプの設計を行っているためだと思われる。

さて右の写真は、LDR6Lシリーズに調光器を取り付けた際の光の様子だ。調光器はロータリー式のつまみが付いたものだ。つまみの位置はおよそ10%ぐらいだ。このようにLDR6Lシリーズでは、ほぼ光量が0の状態から100%の状態まで、連続調光を行うことができる。

商品をより魅力的に見せるには、演色性の高さも必要

演色性の低い光源を使用した場合、ディスプレイされている商品の色味が変わって見えてしまう。演色性能を表すRaの数値は、白熱電球を100とした場合で、おおむね80以上が高演色タイプのランプとされている。LDR6Lシリーズの演色性は、Ra80だ。LED電球としては高演色タイプということになるが、実際に商品を展示した場合にどのように見えるのか検証してみたい。

写真用の照明を使用して撮影

ハロゲン電球を使用して撮影

LDR6Lシリーズを利用して撮影

まずは、カラーチャートの上に雑貨を置いた写真だ。一番左は参考として、写真用の照明を使用して撮影を行っている。以降の写真は、あえてホワイトバランスを5000Kに固定して撮影した。中央の写真がハロゲン電球で照らしたもので、右側がLDR6Lシリーズで照らして撮影を行ったものだ。どちらも非常に黄色がかっているが、当然ながら人間の目にはこのようには見えない。

写真用の照明を使用して撮影

ハロゲン電球を使用して撮影

LDR6Lシリーズを利用して撮影

続いて上の写真は、刺身の盛り合わせを撮影したものだ。上の写真と同じように、ホワイトバランスは5000Kに固定してある。写真用の照明下で見た場合と、ハロゲン電球の照明で見た場合とでは、刺身の表面のツヤや立体感にかなりの差がある。今回撮影したカメラマンによると、「色温度が違うことと、面光源と点光源の違いによるもの」とのことだが、ハロゲン電球のほうは、より食欲をそそるような感じだ。続いて光源をLDR6Lシリーズに換えてみたが、見え方はハロゲン電球とほぼ同じでこちらも食欲をそそる。これはあくまでも参考に留めてほしいが、撮影後のLDR6Lシリーズの写真データを「PhotoImpact」の自動ホワイトバランス調整機能で補正したのが、次の写真である。実際の見た目は、確かにこのような色だ。

撮影後にホワイトバランスの補正を行った写真。実際の見た目はこれに近い

細かい点に言及すれば、ハロゲン電球とLDR6Lシリーズの色の見え方を比べると、LDR6Lシリーズのほうが若干白い印象がある。ただし、これは両者を並べて比較してようやく分かるといった程度だ。例えば、ハロゲン電球とLDR6Lシリーズのどちらか1灯でライティングを行っている場合に、照らされたものを見ただけで、その光源がどちらであるのかを判断することは困難だろう。

多灯の場合はすべて交換

さて、ハロゲン電球を使用している環境で、次に電球が切れたら、切れたものからLED電球に交換してみようと考えている方は多いかもしれない。しかし、その場合に考えなければならない点がある。そのスペースを1灯で照らしている場合には、LDR6Lシリーズに交換しても、色の違いはおそらくわからない。しかし、複数のペンダントライトやスポットライトなどを並べて使用している場合は、さすがにその差は分かる。街に出てみると、1列の照明の中で交換したランプのみ色が変わってしまっている状態で照明を使っている店舗を、比較的よく見かける。これはあまりあまり美しい光景ではない。LDR6Lシリーズは1灯ずつの価格がリーズナブルなので、できるならば、その陳列エリアごとLED化したいところだ。

E17タイプの高輝度タイプも近々登場

ユニティでは、今回紹介したE11タイプ以外にも、LuminoaブランドのLED電球を展開していく。同社によると、年末にE17タイプで650lmのLED電球を投入する予定だという。家庭向けLED電球もE11タイプと同様に、定格寿命は5万時間で、3年間の保証が付いている。

[PR]提供:ユニティ