Samsungが携帯電話販売台数でシェアトップに躍り出た2012年上半期の世界市場。2012年後半はAppleとSamsungが今年後半も市場を牽引していくだろう。では他社はどう対抗していくのか。NokiaやHTC、そして中国勢の動きを推測してみよう。

Windows Phone 8までは我慢のNokia

長年守り続けてきたマーケットシェア1位の座をSamsungに譲ってしまったNokia。スマートフォンのポートフォリオはSymbianからWindows Phoneへの移行が順調に進んでいる。だがSymbian端末の販売台数が昨年に比べ四半期あたり1億5000万台以上も減少しているのに対し、Windows Phone全メーカーの販売総数は微増、全体でも約2700万台に留まっている。すなわちSymbianを使っていた消費者は他OSスマートフォンへ乗り換えているのが実情だ。

Nokiaの復活は下半期の新製品が鍵

Nokiaの動向の鍵を握るのは、スマートフォンで提携を結んだMicrosoftの動きだ。6月には新しいスマートフォンOS、Windows Phone 8が発表されたが、Nokiaは対応製品をいち早く市場に投入する必要がある。ちなみにWindows Phone 8は既存のWindows Phone 7/7.5からアップグレードができないという問題を抱えているが、現状のWindows Phoneはアーリーアダプタ層やヘビーなスマートフォン利用者をターゲットにしていないことから、その点はNokiaの販売数に与える影響は軽微と見られている。新製品を矢継ぎ早に市場に投入し、マーケットリーダーとしてのイメージを回復させなくては離れていった消費者を引き戻すのは難しいだろう。

中国勢の伸びに注目

これら上位3社の次のポジションにつけているのはZTEとHuaweiの中国勢2社だ。今後ハイエンドスマートフォンは既存ユーザーの買い替え需要が中心となっていくが、エントリーレベルのスマートフォンはフィーチャーフォンからの乗換えがまだまだ進んでいく。ネットワークインフラも提供するこの2社は、1万円前後のスマートフォンを通信事業者に安価に提供し、シェアを増やしてきた。

急成長が期待される中国勢

だがこの2社が強いのは今や安価な製品だけではない。今年になってLTE対応やクアッドコアCPU搭載などのハイエンドスマートフォンも相次いで発表しており、大手メーカーにとっても無視できない存在になってきている。今年後半もLTEサービスを開始する国が増えることから、両社のスマートフォンの販売数はより拡大していくだろう。

SONYはブランド認知度をどこまで上げられるか

さてここまでの5社に対し、スマートフォン専業でシェアを伸ばしてきたHTCはハードウェアスペックによる差別化が難しくなってきたことから、HTC Oneシリーズという新ブランドを立ち上げ巻き返しを図ろうとしている。SONYもSony Ericssonからのブランド変更の浸透にまだ時間がかかりそうだ。この2社は今年の販売成績はあまり見栄えのしないものになるだろうが、ブランド浸透が進むことにより来年は上昇が期待できる。

一方BlackBerryの人気に陰りが見えるRIMは、コンシューマー向けのヒット商品が出てこないことから今年後半も苦しい戦いとなりそうだ。アメリカ市場頼りのMotorolaも、iPhone新製品の登場の前に存在感は薄くなってしまいそうである。むしろミッドレンジ以下のスマートフォンで着々と販売数を増やし、シェア10位に見え隠れするAlcatelの存在が今年後半はダークホースとなるかもしれない。