こんにちは、阿久津です。以前つれづれと書いた自炊環境ですが、先週は比較的ヒマな時期でしたので(フリーランスとしてはマズいのですが……)、ScanSnap 1500Sと裁断機はCarl DC-210をオンラインショップで注文。到着後は試行錯誤を繰り返しながら、倉庫にため込んでいた"破棄するには惜しいけど、再度読む可能性は低い"書籍を次々と裁断し、スキャニングを行いました。
これがなかなか難しく、裁断を誤るとスキャニング時に歪みが発生し、せっかくの苦労も水の泡。比較的安価なDC-210よりも、高価かつ一度に裁断可能な枚数が多い別の裁断機を購入すべきかと考えあぐねてしまいますが、コストパフォーマンスと筆者のスキルを踏まえればDC-210で良かったのかも知れません。
一方のScanSnap 1500Sも気になる点は多々ありますが、同じくコストパフォーマンスと手間を考えれば十分合格ラインに達していました。定番スキャナーにあげられるだけのことはあります。あれこれと試行錯誤の結果、600dpiでスキャンした後にAdobe AcrobatのOCR機能でテキスト抽出を行い、そのままPDFで保存という手法を選択しました。
しかし気になるのがPDFのファイルサイズ。もの(本)によっては1GB(ギガバイト)弱までふくれあがります。そのため、JPEG形式で保存した後にグレースケール化やシャープといった加工も試してみましたが、もうこれだけで一苦労。自炊を初めて一週間程度では知識も経験も追いつかず、後から加工できることを鑑みれば、大きなスキャンミス以外はひとまず目をつぶり、目の前に積まれた大量の書籍を裁断&スキャニングした方が精神的にも負担が軽いと判断しました。結局自炊は"こだわる分だけ突き詰められる"という世界のようです。
いずれにせよ今回取りそろえた自炊環境は入門モデルとしておおむね満足。本棚に並ぶ書籍や倉庫に積み重ねられた書籍が少しずつ減っていく様は、数年前に流行った「断捨離」を思い出しました。ヨガの考え方を応用し、生活に不要なものを捨てるというマーケティング的な用語ですが、何十年とかけて蓄積した書籍が消えるまでに必要な作業量と所要時間を想像しますと、気が滅入ってしまいます……。
さて、以前エクスプローラーのツールバーをチューニングする記事(前編、後編)を寄稿しました。ツールバーの情報は、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ FolderTypesキーに格納されており、一般的なフォルダーは文字列値「CanonicalName」の値のデータが「Generic」と定義されている{5c4f28b5-f869-4e84-8e60-f11db97c5cc7}キー(図01)。
図01: 一般的なフォルダーの情報を格納するHKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ FolderTypes \ {5c4f28b5-f869-4e84-8e60-f11db97c5cc7}キー |
同キー内の文字列値「MostRelevant」を書き換えることで、ツールバーの内容は書き換えられることは前述のとおりですが、ふっと思いついたのが、ツールバーを一種のランチャーとして使えないかというアイディア。以前の記事では筆者が確認した既存の機能だけですが、調べてみると独自のGUID(Globally Unique Identifier:グローバル一意識別子)を生成すれば可能であることを確認しました。そこで今回はコマンドプロンプトを起動するボタンをツールバーへ追加するチューニングをお送りします。
1.「GUID Generator」をダウンロードします。
2.GUIDを生成し、クリップボードにコピーします。
3.管理者権限でレジストリエディターを起動します。
4.HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ FolderTypes \ {5c4f28b5-f869-4e84-8e60-f11db97c5cc7}キーを開きます。
5.キーの所有者を「Administrators」グループに変更し、フルアクセスを可能にします。
6.サブキーとして、TasksNoItemsSelected\0と複数のキーを順番に作成します。
7.サブキーとして、ステップ02で作成したGUIDを名前に持つキーを作成します。
8.ステップ07で作成したキーを開き、文字列値「InfoTip」を作成し、値のデータを「コマンドプロンプト」に変更します。
9.続いて文字列値「Title」を作成し、値のデータを「コマンドプロンプト」に変更します。
10.ステップ07で作成したキーの下に、Shell \ InvokeTask \ Commandと複数のキーを順番に作成します。
11.Commandキーを開き、「(既定)」の値のデータを「cmd.exe "/k @cd /D %*"」に変更します。
12.[F5]キーを押してからレジストリエディターを終了させます。
これでチューニングが終了しました(図02~34)。
図02: Internet Explorerを起動し、ダウンロードページにアクセスしたら、<DOWNLOAD>ボタンをクリックします |
図04: ダウンロードが完了しますと、自己展開プログラムが実行されます。展開先としてデスクトップなどを選択してから<OK>ボタンをクリックしてください |
図05: 展開が正しく完了すると「Extraction Complete」というメッセージが表示されます。<OK>ボタンをクリックしてください |
図07: プログラムが起動したら「GUID Format」セクションの<4. Registry Format>をクリックします。<Copy>ボタンをクリックして生成したGUIDをクリップボードにコピーしておきましょう |
図09: レジストリエディターが起動したら、HKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Explorer \ FolderTypes \ {5c4f28b5-f869-4e84-8e60-f11db97c5cc7}キーを開きます |
それで結果を確認してみましょう。ちょうどGUID Generatorをダウンロードしたフォルダーが残っていると思いますので、同フォルダーをアクティブにしてから[F5]キーを押してください。すると表示内容が更新され、ツールバーに<コマンドプロンプト>ボタンが現れます。この状態から同ボタンをクリックしますと、現在のフォルダーがカレントな状態でコマンドプロンプトが起動します(図35~36)。
以前の記事をご覧になった方ならお気づきのとおり、{5c4f28b5-f869-4e84-8e60-f11db97c5cc7}キーは「一般項目」と言われるフォルダーを対象にしたフォルダータイプですので、ドキュメントフォルダーなどに<コマンドプロンプト>ボタンは現れません。必要であれば、こちらの記事を参考に、各フォルダーに対して同様のチューニングを行ってください。
それでは、また次号でお会いしましょう。
阿久津良和(Cactus)