Windows Vista以降、一部のユーザーフォルダーはプロパティに「場所」タブを用意し、そのフォルダーが存在する場所を移動させる仕組みが加わっている。例えば、SDメモリーカードをタブレットに装着し、ドキュメントフォルダーを移動することで、Cドライブの空き容量を確保する使い方などに便利な機能だ。

だが、その設定は各フォルダーから実行するため、すべての場所を確認するのは難しい。そこで今回は、移動可能なユーザーフォルダーを別ドライブに移動する方法と、設定可能なフォルダーを紹介する。

「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。

フォルダーのプロパティ、「場所」タブを使う

フォルダーを別ドライブに移動する手順は簡単だ。フォルダーのプロパティダイアログにある「移動」タブから、異なるドライブを選択するだけでよい。最近はホストドライブにSSDを採用するPCが多いが、大量のデータを格納するのであれば、やはりHDDの方が容量やコスト面で優れている。

ここでは例として、ドキュメントフォルダーをDドライブに移動する手順を紹介しよう。なお、一部のフォルダーは初期状態で表示されないため、第22回第24回の記事を参考に、すべてのファイル/フォルダーを表示する設定に変更して欲しい。

下図のとおり「場所」タブには、現在のフォルダーが存在する場所が示されており、既定は「%USERPROFILE%\Documents」フォルダーとなる。

「Win」+「R」キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動。テキストボックスに「%USERPROFILE%」と入力して「OK」ボタンをクリック/タップする

ユーザーフォルダーが開いたら、ドキュメントフォルダーを右クリック/長押しし、メニューの「プロパティ」をクリック/タップする。なお、フォルダーを選択して「Alt」+「Enter」キーを押してもよい

プロパティダイアログが現れたら「場所」タブをクリック/タップで開き、「移動」ボタンをクリック/タップする

「移動」ボタンを押すとコモンダイアログが起動し、移動先となるフォルダーの選択をうながされる。コモンダイアログ上からも新規フォルダーを作成できるため、ここでフォルダーを作成した方が簡単だ。

コモンダイアログで移動先のドライブ(Dドライブなど)を開き、何もないところを右クリック/長押し。メニューの「新規」→「フォルダー」と順にクリック/タップする

フォルダー名を「Documents」に変更する。特に決まりはないが、移動元と同じフォルダー名にすると分かりやすい。変更したフォルダーを選択した状態で「フォルダーの選択」ボタンをクリック/タップする

移動先のフォルダーを選択し終えると、「移動」タブで示したフォルダーも同時に変化する。最後にファイル/フォルダーの移動確認をうながすメッセージが現れるので、実行を意味する「はい」ボタンを押せば操作完了だ。

これでフォルダーの移動準備が完了した。フォルダーの場所が変化しているのを確認してから「OK」ボタンをクリック/タップするM@

すると移動の確認をうながすメッセージが現れる。問題がなければ「はい」ボタンをクリック/タップする

下図はユーザーフォルダーから開いたドキュメントフォルダーと、Dドライブからたどって開いたドキュメントフォルダー。ご覧のとおりアドレス欄が示したパスは異なるが、フォルダーの内容は同じだ。このような手順で一部のフォルダーは移動できる。

左上はドキュメントフォルダーを開いた状態。右下はドライブからたどってドキュメントフォルダーを開いた状態。アドレス欄のパスが異なっているが内容から同一のフォルダーであることが分かる

ただし、リムーバブルディスクへ移動する際は注意が必要だ。OS起動時にそのドライブが存在しないと、誤動作の原因となりかねない。もちろんOSが稼働中にリムーバブルディスクを着脱することも避ける必要がある。この点に注意して、本機能を利用して欲しい。

移動可能なフォルダーをチェックする

プロパティに「移動」タブが現れるフォルダーは、一部に限られる。少々難しい話になるが、対応するフォルダーの場所情報は、レジストリの「HKEYCURRENTUSER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\User Shell Folders」キーなどに格納されている。前述の手順は、ファイル/フォルダーの実体を移動し、格納情報を書き換えているにすぎない。この連載ではレジストリの操作は扱わないが、突如「移動」タブが消えてしまうようなトラブルに見舞われた場合、構造を知っておけば対処することも可能だろう。

User Shell Foldersキーの内容。ちょうど先ほど移動したドキュメントフォルダーの情報が書き換わっている

ダイアログから変更可能なフォルダーは下記にまとめたが、一部のユーザーフォルダーを移動させると、Windowsストアアプリが正常に動作しなくなる場合がある。このトラブルが発生したときに、当該フォルダーを元の場所へ戻しても回復しないケースを確認している。少々面倒だが、システムドライブをバックアップしてから試すと安全だ。

フォルダー名 パス
AppData %USERPROFILE%\AppData\Roaming
Cookies %USERPROFILE%\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCookies
Local AppData %USERPROFILE%\AppData\Local
LocalLow AppData %USERPROFILE%\AppData\LocalLow
OneDrive %USERPROFILE%\SkyDrive
お気に入り %USERPROFILE%\Favorites
アドレス帳 %USERPROFILE%\Contacts
カメラロール %USERPROFILE%\SkyDrive\Pictures\カメラロール
スタートアップ %USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup
スタートメニュー %USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu
ダウンロード %USERPROFILE%\Downloads
テンプレート %USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Templates
デスクトップ %USERPROFILE%\Desktop
ドキュメント %USERPROFILE%\Documents
ビデオ %USERPROFILE%\Videos
ピクチャ %USERPROFILE%\Pictures
プリンター履歴 %USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Printer Shortcuts
プログラム %USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs
ミュージック %USERPROFILE%\Music
リンク %USERPROFILE%\Links
一時キャッシュ %USERPROFILE%\AppData\Local\Microsoft\Windows\INetCache
共有フォルダー履歴 %USERPROFILE%\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Network Shortcuts
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保存したゲーム %USERPROFILE%\Saved Games
履歴 %USERPROFILE%\AppData\Local\Microsoft\Windows\History

阿久津良和(Cactus)