Internet Explorer(IE)以外のWebブラウザは幾つかありますが、その中でも人気なのがFirefoxです。ページの高速表示や高いセキュリティに定評のあるFirefoxですが、その魅力はカスタマイズにあります。アドオンという小さなプログラムをFirefoxにインストールすることで、自分が欲しいと思う機能を次々に付け加えることができます。つまり、Firefoxはアドオンを使うことでより自分に合った自分だけのブラウザになるわけです。

幾つかあるアドオンでもユニークなのが「Greasemonkey」と呼ばれるプログラム。Greasemonkey 単体では何も起こらないですが、Greasemonkey用に作成されたスクリプトを加えることで、特定のWebサイトの見た目を瞬時に変えるだけでなく、機能を追加したり削除することができます。リンクが新規ウィンドウで開かないようにする単純なものから、別のWebサイトのコンテンツをページ上に表示させるといった高度なものまで1万7,000以上のスクリプトがあります。今回は検索だけでなくオンラインワークスペースとしても利用している方も多いGoogleをさらに使いやすくしたり、効率を上げるためのスクリプトを幾つか紹介します。

まずは、アドオンのページからGreasemonkeyをインストール。インストール後、再起動するとウィンドウの右下に猿のマークが表示されます

Userscript.org」はGreasemonkeyで動作する様々なスクリプトを紹介しているディレクトリ。すべてのサイトに適用されるものから、特定のサイトのみ動作するものまで様々

使ってみたいスクリプトが見つかったら右側にある「Install this script」をクリック。Firefoxを再起動しなくてもすぐに適応されます

Googleが提供しているサービスはどれも無駄な要素が省かれシンプルな見た目になっていますが、さらにシンプルにすることで作業により集中できるようになるだけでなく、一度に見える情報量を増やすことができます。「iGoogle Max」、「Maximize google calendar」はGoogleのサービスに表示されている要素を省いてくれるスクリプトです。パーソナライズページiGoogleには大きな画像と検索ウィンドウがページ上に表示されていますが、「iGoogle Max」をインストールすればページ上部が非表示になり、さらにたくさんのガジェットを一度に表示することができます。ページ右上にあるユーザー名をクリックすると自動的にGmailの新規メール作成ページに行くというおまけ機能もあります。

iGoogleにiGoogle Maxを適応したときの比較。タブが角丸になっているところも注目

Googleカレンダー用のスクリプト「Maximize google calendar」も同様に必要のない要素を省くことでカレンダーの表示面積を大きくしています。1日の表示数と文字数が増えるので月表示で特に効果を発揮するスクリプトです。検索ウィンドウも表示/非表示の切り替えができるようになっているので、週表示のような縦に長くスペースが欲しい場合も使えそうです。

Maximize google calendarを使用したところ(画面右) 。同じウィンドウサイズでも可読文字数が増えているのが分かります。ページ右側の「印刷」の右にあるボタンをクリックすると検索ウィンドウを表示したり予定を追加できます

Googleを利用したオンラインでのデータのやりとりがメールだけでなく、予定や文書管理など多岐にわたってきました。便利な反面、気になるのがセキュリティ面です。パスワードが人にバレないようにすることが基本ですが、ログイン後、サービスを利用している最中のデータの安全性も気になるところです。Googleのサービスの多くはURLの「http://」を「https://」と書き換えるだけで、通信が暗号化されたセキュア接続に切り替わります。これを自動的に行ってくれるのが「Google Secure Pro」です。これはGoogleのサービスにアクセスすると自動的にセキュア接続に切り替えてくれるスクリプトです。GmailやGoogleカレンダーをはじめ、「Docs」、「Reader」、「Bookmark」、「Groups」といった他のサービスもサポートしています。もちろん、これで完全に安全になるというわけではありませんが、手間をかけずに最低限の安全を確保できるという意味で嬉しいスクリプトです。

Google Secure Pro を使うとFirefoxのステータスバー下に鍵マークが付いているのが分かります。普通に「http://」と入力してアクセスしたとしても自動的にセキュア接続に切り替わります

毎日使っているGoogle検索をより便利に使いたいという方は「Google Search Results Ultimate Makeover」も欠かせません。このスクリプトを使うことによって見た目が大幅に変わるだけでなく、その場でページランクをチェック、マウスオーバーでページプレビュー、右下に表示されるナビゲーションでいつでも検索ページの移動を可能にしてくれます。また、フィルターを使ってブログやソーシャルブックマークを省いた検索結果を表示させることができます。

Google Search Results Ultimate Makeoverを使用した状態。検索結果の情報量が増えましたが、Faviconの追加や文字のスタイルが調整されていて、見やすいインタフェースに仕上がっています

検索結果で除外したいサイトはあらかじめ日本語のサービスがリストアップされていますが、自分で追加・削除することができます

ちょっとした工夫を加えることで作業効率が上がる場合がありますが、Greasemonkeyのスクリプトはそんな「ちょっとした工夫」をサイトに加えてくれます。Firefoxのアドオンの中でも中上級者向けともいえるGreasemonkeyですが、今回紹介した幾つかのスクリプトから始めてみてはいかがでしょうか。少しの変化が大きな発見に繋がることもありますよ。