連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
社会人となって3年目のOLです。27歳までに400万円を目標に貯蓄をしはじめましたが、なかなか思うようには貯蓄額が増えません。家計のどこを見直したら、貯まる貯蓄ができるようになるのでしょうか。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

  • 会社員で会社に財形がある場合は、会社の財形を利用することがお金が貯まる一番の方法です。給料天引きですので、いやがおうにも貯まっていきます。また非常にいいことに引き出すときが面倒なので、ついつい引き出すことをやめてしまうことです。なかなかお金が貯まらないと悩んでいる人には、おすすめです。

  • また、財形ばかりではなく違うものをと思うのなら、少額を投資商品で積み立てる方法があります。例えば普通預金15,000円を5,000円だけ今までのように普通預金で貯めていきます。そして残りの1万円は、株式や投資信託で積み立てる方法です。

(※詳細は以下をご覧ください)


2年後の27歳までに400万円を目標に貯蓄をされているとのことですが、今のままの貯蓄を続けていくと約300万円となり約100万円足りません。そこでこの100万円を増やすためにどうすればよいのか見直してみたいと思います。

手取りからみた貯蓄額は十分

角田様は、手取り額が月々約18万円で、その中から毎月42,000円を貯蓄しています。一般的に貯蓄は手取り額の2割~3割と言われていますが、筆者は特別に事情がなければ貯蓄は給与の2割相当額で十分かと思います。貯めることに一生懸命で、人生が楽しくなければ本末転倒です。お金を貯めながら、たまには美味しい物を食べ、素敵な服を着て、温泉で癒されることなどは、生きていく上で必要ではないでしょうか。そう考えれば、角田様の毎月の貯蓄額は十分かと思います。確かに他の支出を貯蓄に回せばお金は貯まりますが、支出の内容を見る限り減らすべき支出項目は見当たりません。あえていえば、レジャー費や被服費ですが、これもそれほど突出して高いというわけではありません。気分転換をするためや美しくしているために必要な金額かと思います。

また、自宅にもかかわらず、きちんとご両親に住居費としてお金を支払っているのも立派です。食費も昼食代やお付き合い等と考えれば必要な金額かと思います。つまり、毎月の支出から言えば見直すべき項目はないと言えるでしょう。

貯蓄は財形が一番

会社員で会社に財形がある場合は、会社の財形を利用することがお金が貯まる一番の方法です。給料天引きですので、いやがおうにも貯まっていきます。また非常にいいことに引き出すときが面倒なので、ついつい引き出すことをやめてしまうことです。銀行等であればキャッシュカードで簡単に引き出せますが、それに比べるとハードルが高い分、お金が貯まっていくのです。なかなかお金が貯まらないと悩んでいる人には、おすすめです。

毎月の貯蓄は、財形が27,000円でその他に普通預金が15,000円となっていますが、普通預金はほとんど利息がつかないので、できれば10,000円は財形に追加してはいかがでしょうか。

また、財形ばかりではなく違うものをと思うのなら、少額を投資商品で積み立てる方法があります。例えば普通預金15,000円を5,000円だけ今までのように普通預金で貯めていきます。そして残りの1万円は、株式や投資信託で積み立てる方法です。それぞれ銘柄を決めて(例えばトヨタ自動車、カゴメ、○○ファンドなど)、毎月1万円ずつ購入していく方法です。

購入金額は、銀行口座からの引き落としができ、配当金や分配金はそれぞれ持っている割合に応じて支払われます。ただし、リスクがある商品ですので、収益が出るかもしれませんが、損をする可能性もあります。その場合のリスクを減らす方法としては、さまざまな銘柄に投資をしてください。投資信託の場合は、10万円か10万口になった時点で他の銘柄に変更し、株式の場合は、単元株(株主となる単位)になったときに他の銘柄に変更します。単元株になれば、名義書換を行い、通常に株主としての権利が行使できるようになります。

このような株式などの価格変動商品を毎月一定金額ずつ買い付けていく方法をドルコスト平均法といいます。長期にわたって積立を継続していると平均的な買い付け単価を低く抑えることができるのです。この積み立ては申込先が証券会社となり、取り扱う銘柄や手数料は会社により異なりますので、比較検討をおすすめします。また、投資に挑む際には、ハイリスク、ハイリターンはある程度覚悟した上でチャレンジしてください。

ボーナスの支出を見直して2年で約100万円貯める

ボーナスの支出については、見直しが必要です。「お金を貯める」と決めたのなら、やはりここは覚悟が必要です。旅行をやめろとは言いませんが、国内旅行とか海外でも近場で今までの半分の費用で行けるところを探してみましょう。また、毎月の住居費に加えてボーナスでもご両親へ住居費として5万円を支払っているのは親思いで親孝行だと思いますが、この際2年間はお金を貯めたいという理由を両親にもきちんと説明してボーナス分の住居費はパスしてもらいましょう。また、趣味の支出5万円ですが、これも毎月のレジャー費で補って、ここは思い切って削減しましょう。

このように見直しをした結果、

上記のように、毎月ではなくボーナスの支出を見直すことにより、不足分の100万円が貯まります。角田様の場合、ボーナスの貯蓄額が少ないためになかなか貯蓄額が貯まらなかったと思われます。ボーナスは、給与と違って「会社からのうれしいプレゼント」です。プレゼントですから額も決まっていなければ、決まった支出もありません。そう考えて、せめてボーナスの半分以上は貯蓄をすることをおすすめします。今から「お金を貯める!!」と気合をいれて、同時に青春時代を思う存分楽しめるよう工夫しながら貯蓄に励んでください。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士 菅田芳恵

大学卒業後、証券会社・銀行・生保・コンサルティング会社に勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立。様々な資格を活かして多面的に話をすることが得意。資産運用、家計管理、ライフプラン、キャリア形成、年金、心の健康についてアドバイス、執筆、セミナー講師として活躍中。