デジタルハリウッド講師が、業界の動向や最新事情について解説していく本コラム。 今回は、デジタルハリウッド大学大学院・産学官連携センターの沖昇氏がメガネを使用しない3D立体映像の視聴方法について紹介していきます。

メガネを使用しない3D立体映像

映画『アバター』で一気に認知を広げた3D立体映像ですが、専用の眼鏡をかけて見る方式以外に裸眼(メガネを使用しない)で見る方式として、「パララックスバリア方式」や「レンチキュラー方式」などがあります。

■パララックスバリア方式
映像パネルの上にスリット状の開口を持った「パララックスバリア」を配置し、スリットを通して見る映像を交互に配置することで左右の眼にそれぞれ違う映像を送る事ができます。ただし、映像をスリットという遮蔽物を通して見ることになるため映像が暗くなることや、視点数を増やすほど解像度が落ちるなどデメリットもあります。

■レンチキュラー方式
左右の目に入る画像を交互に配置し、断面がカマボコ状のレンチキュラーレンズを使用することで左右の画像を分離して見ることが出来ます。レンチキュラーレンズの表面は凸凹になっています。この凸凹が多いほど細かい表現が可能になりますが、映像を見る為には近くに寄らなければなりません。反対に凸凹の数が少ないと遠くからも映像を見ることが可能になります。

デメリットとしてはパララックスバリア方式と同様に視点数を増やすほど解像度が落ちます。また、横移動をすると映像が波打つように変化する為、画面と視聴者の位置が固定されていた方が安定して立体映像を見る事ができます。レンチキュラー方式はFUJIFILM FinePix 3D W1で撮影された画像の3Dプリントでも使用されています。見る角度によって絵が動くおもちゃもこの方式で作られています。

2010年の3D立体映像

ますます身近になる3D立体映像ですが、2011年3月末に任天堂から裸眼立体視ができる「ニンテンドー3DS」(仮称)が発売されることが発表されましたし、シネックスが発売した3D立体映像対応のヘッドマウントディスプレイ「cinemizer plus」(シネマイザー プラス)も既に発売されました。また、台湾アスーステック・コンピューターからは国内初の立体視ノートパソコンが発表されました。そのほか、コンテンツ面でもアニメーション業界が3D立体映像に力を入れ始め、東京国際アニメフェア2010では3D立体映像化された作品を数多くみることができました。

映画・テレビ・ゲーム・インターネットなど様々なメディアで3D立体映像化が始まっています。ハードウェア、コンテンツ共に充実し、2010年後半にはさまざまな形で3D立体映像が楽しめるようになりそうです。