気がつけばお腹が……ならば、まずはカロリーを見直そう

タニタ開発部開発企画課の西澤です。コンビニやスーパーの食品売り場をのぞくと、「カロリーオフ」や「カロリーゼロ」をうたう商品がズラリと並んでいるのに気がつくと思います。最近おなかも出てきたし、できるだけカロリーの低いものを……。そんな思いから、これら低カロリー商品を手に取る人も多いでしょうが、そもそもカロリーとは何なのかをご存じでしょうか。まずはカロリーと体が太る仕組みについて考えてみましょう。

エネルギー量であるカロリーの使いそびれが脂肪として蓄積

中学校の理科の時間を思い出してみてください。カロリー(cal、kcal)とは熱量を表す単位で、1kg(1L)の水の温度を1℃上げるために必要なエネルギーが1kcalと習ったと思います。当たり前ですが、1kcalのエネルギーを摂っても、消費しなければ体内に蓄積されてしまいます。つまり、余ったエネルギーは脂肪の中に貯蔵されやすいということです。

実際、糖質、たんぱく質、脂肪が持つエネルギー量を比較すると、脂肪は一番エネルギー量が高いです。例えば、たんぱく質の多い鶏ささみ30gは32kcal程度ですが、脂肪の多い鶏皮30gは154kcal程度もあります。

脂肪が増え過ぎると「肥満」となり、見た目が残念な感じになるだけでなく、糖尿病や高血圧など生活習慣病のリスクを高めてしままいます。ちなみにタニタでは、18歳~39歳の男性の場合、体脂肪率22%以上を「軽肥満」、27%以上を「肥満」と判定しています。

糖質、たんぱく質、脂質が持つ1gあたりのエネルギー量。3つの中では脂肪(9kcal)が一番高い

1日240kcalのカロリーをセーブできれば1カ月に1kg減

では、一度体内に貯蔵された脂肪を使う(=痩せる)ためにはどうすればいいのでしょうか。脂肪が持つエネルギー量は1gあたり9kcalです。仮に1kgの脂肪に換算すると、単純計算で9,000kcalとなります。しかし、人間の脂肪は「脂肪細胞」として蓄えられており、その2割は水分や細胞を形成するたんぱく質などでできています。この分を差し引くと、脂肪1kgあたりのエネルギー量は7,200kcal。従って1カ月で脂肪1kgを減量する場合、7,200kcal÷30日で、1日あたり消費エネルギーが摂取エネルギーを240kcal上回れば、体内に蓄えた脂肪を消費して、みごと減量達成となります。

ちなみに、240kcalを食物に換算すると、どら焼きなら1個、発泡酒のロング缶(500ml)なら1本程度、生ビールだと中ジョッキ1.2杯になり、運動で消費する場合、ウオーキング約50分、ジョギング約27分になります(平均的体格の30~40代男性の場合)。食べる方を我慢するか運動する量を増やすかはその人次第ですが、これを実践すれば確実に1カ月で1kgの脂肪を減らすことができます。

脂肪1kgの体積は500mlのペットボトル2本とゴルフボール3個弱にも!

これだけやっても1kgしか体重が落ちないなんて……と悲観的に考える人もいるかもしれません。しかし、1kgの脂肪を侮るなかれ! 脂肪は密度が低く、重さの割に体積が大きいのです。つまり、実際の重さ以上に見た目はずっとスリムに引き締まって見えるものです。脂肪を身近なもので例えると、脂肪1kgの体積は500mlのペットボトル2本とゴルフボール3個弱にも相当します。30代以上の男性の場合、腹部についた内臓脂肪から消費されていくので、1kgの脂肪がなくなるとそれだけおなか周りがすっきりすることになります。統計的には、標準的な体格の男性でウエストが約1cm減るほどの変化です。

摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを取ることが、自分の体形のコントロール、健康管理の第一歩となります。まずは、カロリーを意識することから始めてみましょう。次回はカロリーを意識するために日々どのようなことに気をつければよいか、また、そのために使えるアイテムをご紹介します。

執筆者プロフィール : 西澤 美幸(にしざわ みゆき)

タニタ開発部開発企画課課長。栄養士。グラフや演算式を作ることが大好きという数式オタク的な気質を生かし、体脂肪計・体組成計や活動量計など様々な商品の中身となる多数の演算式を開発。また、『続・体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房)の監修を担当。