東京・LOFT9 Shibuyaにて27日、平成仮面ライダーシリーズのプロデューサーを務めた東映の白倉伸一郎氏によるトークイベント「白倉伸一郎 プロデュース作品を振り返る。」が開催され、ゲストに武部直美プロデューサーが登場。『仮面ライダーカブト』の水嶋ヒロや『仮面ライダー電王』の佐藤健など、キャスティング担当として多くの人気俳優を見出してきた武部氏が当時を振り返った。

左から武部直美氏、白倉伸一郎氏

今でこそ、"若手俳優の登竜門"としてゆるぎない地位を築いている平成仮面ライダーシリーズ。だが、当初はオーディションにもなかなかいい候補者が集まらず、事務所からは「なぜうちの俳優が『仮面ライダー』に出なくちゃいけないのか?」と説明を求められることすらあったという。武部氏によると、状況が変わったのは『仮面ライダーカブト』『仮面ライダー電王』から。

それまでは、武部氏が目を付けた新人を白倉氏に紹介するパターンも多かったという。『仮面ライダーカブト』の水嶋ヒロについては、白倉氏と武部氏だけで、ほかの判断を仰ぐ前に決定したことも明かされた。「相談しているあいだにほかに取られてしまう、その前に……」という思いから、白倉氏は水嶋と東映のビルの8階で別れたあと、「彼がエレベーターで1階に着く前に事務所に連絡して」と武部氏に命じていたという。

また、『仮面ライダーアギト』に出演した要潤は、オーディション前、白倉氏が廊下ですれ違った時に即決するウルトラCで社内を驚かせたという。そういった「キャストをこちらから見つけにいかなければならない」事情があったため、結果として青田買いになることが多かったが、白倉氏によると「当時はそもそも日本に男の若い俳優がいなかった」という印象があったと語る。そのため、「(若手俳優が多数出演していた)『ごくせん』の影響が大きかった」そうで、武部氏が『ごくせん』で目を付け、白倉氏に教えるということもあり、意外な2タイトル間の関係に客席からも驚きの声が上がっていた。

ほかにも、新人時代の新垣結衣(『Sh15uya』)、綾野剛(『仮面ライダー555』)など、振り返れば今活躍している人気俳優が白倉氏のプロデュース作品でドラマデビューを果たしている。白倉氏は、「私が見つけなくても世の中に出る人は出る」と語りつつも、「でもけっこう大物を見逃してるんです……」と具体名を続々上げようとしたが、そこは司会者からストップがかかっていた。