2017年10月3~6日にかけて千葉県・幕張メッセにて開催されるCPS/IoT Exhibition「CEATEC JAPAN 2017」にてロームは、センサと無線のコラボレーションを掲げ、さまざまなユーザーに向けた活用事例をソリューションとして展示している。
例えば、ここ数年のCEATECにおける同社ブースでは、超小型飛行体研究所とのコラボとして、空飛ぶ折り鶴「ORIZURU」のデモを行ってきたが、今年は「最先端技術×京の伝統工芸」をテーマに、京都の和紙職人、京表具職人、金箔工芸士とのコラボを実現。伝統の友禅図案を和紙で表現した「ORIZURU」と、全身に金箔をまとった「ORIZURU」の2種類が紹介されている。
また、ルネサス エレクトロニクス主催の「2016 GR DESIGN CONTEST」でグランプリを受賞したことでも知られるFirst Four Notesのバイオリン練習ソリューション「Bowing Vision」の進化系が同社ブースにてデモを行っている。従来のものは手袋型のデバイスを弓を持つ手側にはめる必要があったが、今回、ロームの直径3センチのセンサメダルを搭載したアームバンド(アームセンサ)と、手首のアームバンド(加速度センサ)をニット配線で接続することで簡略化。1人で容易に装着することが可能となった。同社によると、近い将来、クローズドベータテストを開始する予定としており、実用化に向けた取り組みを続けていきたいとしている。
進化した「Bowing Vision」。iPad上で演奏練習用アプリを起動させ、無線で接続。演奏時の肘・手首の動きをセンサがリアルタイムで検知し、正しい軌道や音との差を見える化された形で確かめることができる |
このほか、同社ブースでは、半導体の最新製品として、ノイズ設計不要のオペアンプのデモや、脈波信号から血圧情報を高精度に推定するセンサのデモなども見ることができる。ノイズ設計不要のオペアンプとは、EMI耐量を業界最高レベルにまで向上させた製品で、これによりノイズ環境においても、CRフィルタやシールドを省略したシステムを開発することを可能とする。ブースでは、ロボットハンドのコントロール部に同社製品と競合製品をDIPピンで挿し変えて、無線機を近づけるとどうなるか、というデモを見ることができる。ノイズが乗れば、通信は遮断され、ロボットハンドが止まるが、同社製品の場合、近づけても止まることがないというもので、自動車関連を中心に非常に強い引き合いがすでにあるという。
左が競合製品を使ったデモ。中央がロームのオペアンプを使用したデモ。右がロームの高EMI耐量オペアンプの拡大画像。写真だとまったくわからないが、無線機を近づけてもローム製品の場合、通信が確保され、動作を継続することができる |
脈波信号から血圧情報を高精度に推定するセンサのデモ。右下が有線によるデモ。左下のリング型デバイスがBluetoothを用いたデモ。有線のデモの場合、緑色のみを透過する光学フィルタを搭載することで、赤外線や赤色光などの外乱ノイズの除去できることを示すものとなっており、右脇にある赤色発光のライトを照らすことで、フィルタの有無での精度の違いを見ることができる |
さらに、同社ブースでは、同社が毎年開催しているアイデアコンテスト「ROHM OPEN HACK CHALLENGE(ROHC)」の2017年度優秀作品5作品の展示も行われている。2017年度のグランプリを受賞したのはつくるラボの「【ダンナダッシュ】~ボタンひとつで即日配達! 愛する人へ貴方の想いを届けます~」で、ボタン1つでダンナ(人)が持つキーホルダーが点灯して、買い物を依頼することができる、というIoTデバイスとなっている。
また、優秀賞は、Skilled Workersの「FunnyBall」とTEAM I.N.U.P.Yの「INUPY SMART DEVICE」が受賞。FunnyBallは、モーションをトラッキングし、その動きに応じた音を内蔵スピーカーから鳴らすことで、インタラクティブな体験ができる新感覚ボールとなっている。一方のINUPY SMART DEVICEは、足をインタフェースとして捉え、足の動きをトラッキングすることで、PCやタブレットのページスクロールやスライド、カーソル移動、クリックといった操作を可能とするデバイスとなっている。
このほか、特別賞は、OneChanceの「Uchiwaction」とSPORADIC-Eの「EnOceanを用いたフリーマガジンのラック内在庫量の把握」が受賞。Uchiwactionは、コンサートやライブイベントでアーティストを応援するためのLEDメッセージやライティングの制御をサブGHzを使用することで、会場の環境に左右されることなく、ファンとアーティスト双方向のやり取りを可能にするIoTうちわとなっている。一方のEnOceanを用いたフリーマガジンのラック内在庫量の把握は、文字通り、マガジンラックに設置されているフリーペーパーなどの量を監視し、そのデータを無線でサーバに転送するという仕組みのもの。マガジンラックのみならず、椅子やゴミ箱に設置するといった応用の可能だという。
このほか、往年の動物ロボット「メカモ」をジェスチャコントロールに対応させたソリューションのデモも同社ブースでは体験することができるので、先端の半導体を活用した体験をしたい人は、同社ブースをチェックしてみると良いだろう。