日本HPは21日、20日に発表した3Dプリンティングソリューションを、「設計・製造ソリューション展(DMS)」(6月21日~23日/東京ビッグサイト/ブース番号:41-36)にて、国内で初めて展示した。本稿では、この3Dプリンタのしくみを中心に紹介する。

日本HPが日本国内でこれから展開するソリューションの中核を担う3Dプリンタ。最終製品の製造までターゲットとした「HP Jet Fusion 3D 4200 プリンティングソリューション」は約3,800万円~、2017年8月から販売を開始する

同社の3Dプリンタ「Jet Fusion 3D」シリーズは、粉体の材料を用いるプリンタ本体と、余分な粉を落とすプロセシングステーションをペアで用いる。製造工程としては樹脂パウダーをレーザー焼結させるSLSに近いが、同機種では硬化にはエージェントと呼ばれる溶解促進剤を用い、ヘッドに設けたヒーターでベッド全体を加熱して凝固させる。

溶解促進剤には結合を促進する「フュージングエージェント」、仕上がりを向上させる「ディテーリングエージェント」の2種類を用いる。後者を塗布された部分は熱溶解されないため、表面のざらつきを軽減させる。出力に際しては、ビルドユニットに粉末を充填し、3Dデータを入力すればすぐに造形を開始できるという。

3Dプリンタ内部

筐体上部に赤外線カメラを備えており、900箇所にわたり造形物をリアルタイムで監視し、各所の強度や機械特性をチェックすることが可能。こうした品質確認の機能に加え、解像度は1200dpiと高数値であることから、製造業において最終製品に適用可能な成果物を出力可能であることが同社ソリューションの強みであると語られた。

今回発表した3Dプリンタのパーツをそれ自身で出力した例も展示されていた

プロセッシングステーションでの処理後、さらに研磨をかけることで、最終製品に適用可能という例

”オープンソース”的開発で材料を拡充

仕上げを行うプロセッシングステーション

現状、純正で展開する材料は「HP 3D High Reusability PA 12」(以下、ナイロン12)のみだが、同社では材料製造の基本ユニットを材料メーカーに提供する「3Dオープンマテリアルプラットフォーム」を展開しており、BASF、Henkel、EVONIKなどの材料メーカーが、同社3Dプリンタ向けの材料開発を行っている。現状は欧米メーカーの取り組みが紹介されているが、3Dプリンタの販売開始に際し、日本国内でも材料やアプリケーションの要望に応えていきたいとコメントした。

今後展開を予定しているフルカラープリントの出力例

また、仕上げ工程を担うプロセッシングステーションでは、成果物の冷却と、余分な粉末の除去を実施する。この機器では、これまで手作業で行われることが多かった、材料の再利用のための工程を自動化しており、使用済み粉末と新品のパウダーの撹拌はマシン内で行われ、充填も自動で行われる。3Dプリンタのビルドユニットは単体販売も行い、そのままプロセッシングステーションに持ち込めるため、3Dプリンタでの出力と仕上げの工程を同時に走らせることもでき、この点が効率化に寄与すると強調された。

なお、今後の展開としては、同機器でフルカラー印刷の提供を可能にすべく準備を進めているほか、導電性を持たせるなど、パーツに特性を付与するエージェントの開発も行っているという。