アマゾン ウェブ サービス ジャパンの年次イベント「AWS Summit Tokyo 2017」が5月30日から開催された。昨年は3日間だった会期を4日間へ拡張しての開催だ。31日の基調講演では、同社の表取締役社長である長崎忠雄氏が4人のゲストスピーカーを迎えて講演を行った。
「今、日本ではクラウドへのシフトが起こっていると感じる。もはやクラウドは止められない流れ」と、クラウドを活用する企業が急速に増加している現状の言及から講演を開始した長崎氏は、冒頭でAWSの成長や現状について解説した。
サービス開始以来順調に増えてきたユーザー数は近年、特に急速な増加を見せており、ビジネス規模も日本円で約1.46兆円、前年度比約50%成長を遂げている。また、サービスの機能改善も年々増加しており、それでいてサービス開始から合計61回の値下げを行うなどコストメリットも大きいことなど、AWSの特徴が改めて紹介された。
講演では「クラウドで実現する6つの変革 ~ITとビジネスの障壁を取り除くエンタープライズクラウドコンピューティング~」として「ビジネス基盤の強化」、「持たざる戦略で身軽に戦う」「経営課題とIT課題を同時に解決する」「不測のリスクに備える」「信頼性と安全性を手に入れる」、「HybridなIT組織を作る」という6つの項目に分けて、企業の課題に対応するために同社が提供する機能やサービスの紹介が行われた。
日本企業向けに用意されたオプションや3つの新サービス
AWSはこれまでも技術的な支援やパートナー選択の支援、豊富な導入事例の公開といった形でユーザーをサポートしてきた。
特に日本ユーザーに向けては、よりクラウド導入における障壁を取り除き、選択肢を増やすための施策として、日本準拠法を選択可能にし、紛争解決にあたって管轄を東京地裁へ変更できるようにもした。また、支払い通貨を12に拡大、さらに日本円での請求書払いにも対応。サービスコンソールも6月中にはすべて日本語化すると発表した。
また、3つの新サービスも発表された。1つ目は、簡易VPSサービス「Amazon Lightsail」の東京リージョンでの提供開始だ。イメージの選択、サイズの選択、名前をつけるという3ステップで月額5ドルから利用を開始できる。ユーザーがリソースの選択で悩む必要はなく、利用料金に転送量なども含まれているため、初心者や専任担当者のいない企業でもAWSが使いやすくなる。
2つ目は、最長12カ月利用できるAWSクラウドの無料利用枠に、仮想デスクトップサービス「Amazon WorkSpaces」が加わったことだ。
そして3つ目は、大阪ローカルリージョンの開設だ。現時点では2018年に、特定ユーザー向けに利用を限定した形で開設されることしかわかっていないが、発表の流れから見ると、災害対策や事業継続のために現状の自動複製などの対応以上を求めるユーザーを対象としているようだ。