東京都豊島区。池袋駅から立教大学へ続く道をさらに進むと、左手から元気な声が聞こえてきた。立教大学の系属校、立教小学校の校庭では、朝の体育の授業が行われていた。立教小学校では、英語や情報等の授業を小学校1年生からカリキュラムに組み込んでおり、また高学年では中学・高校のように各教科を教科担任制とし、専門性の高い授業に定評がある。
そんな立教小学校で、筆箱やノートともに学習のための道具として使われていたのがiPad miniだ。3年生以上の生徒たちは立教小学校のテーマカラーである紫色のオリジナルケースに収めたiPadを毎日持ち歩き、日々の学習に活かしている。
小学校向けの学習指導要領では情報科の授業が設定されていなかった。そのため、総合的な学習の時間などを活用して、情報教育が実施されてきた経緯がある。
立教小学校では、小学校1年生から英語を履修するが、英語科から教材としてタブレットを活用することが提案され、iPad miniの導入が始まったという。情報科については、現在は社会科が受け持ち、様々な教科から時間を持ち出して活用を進めている。そこで、立教小学校の社会科の教諭でICTを総括するメディアセンター長を務める石井輝義氏にお話をうかがってみた。
石井 学校へのMacの導入は2008年、iPadは学校購入で英語科120台、情報科40台の導入から始まりました。当初は全校生徒720名分の導入を英語科が目指していましたが、それは学校や保護者が納得しませんでした。週3時間の英語の授業のために購入するのか、との批判があったのです。まずは学校で導入し、2015年4月からは、3年生になったら生徒個人で購入する、というルールで運用しています。購入した年は1年間、週1度必ずiPadの利用に関する時間が導入されています。年間30時間あります。
iPadを選択した理由は、操作の習得に必要な時間の短さが決め手だったという。1人1台で導入したとしても、コンピュータだけを扱う授業を長時間設定することはできない。教員も生徒も、限りなく習得時間が短いデバイスを選択する必要があった。これにより、使い方に終始する授業を排除し、各教科で活用しやすい環境を整えることができたとのことである。