年に数回、IT業界では世界的規模の展示会が開催される。その中でもドイツ・ハノーバーで3月に開催される「CeBIT」は、B2Bにターゲットを絞った展示会として方向転換を図ってきた。

そして3月20日から始まる2017年度は、特にCeBITに注目すべき理由がある。日本がパートナーカントリーに選ばれたことで、欧州市場における存在感が大きく向上する可能性があるからだ。

社会の「デジタル化」を推進

IT業界の主要な展示会として、1年のトレンドを占う1月の「CES」、2月にはモバイル業界最大の「Mobile World Congress」、年末商戦前に最新製品が揃う9月の「IFA」がある。

これに対して3月のCeBITは、他の展示会と比べて違いを打ち出すことが難しく、欧州以外からの注目度が下がっていた。そこで2014年には方向転換し、コンシューマーからB2Bへとターゲットを変更した。

CeBIT会場となるハノーバー国際見本市会場

だが、その頃から社会の潮目が変わってきた。「IoT」がバズワードになり、ドイツは社会全体の「デジタル化」を推進する「インダストリー4.0」を、日本もそれに習って「ソサエティ5.0」を提唱。各国が国を挙げてIT化を進める動きを加速している。

社会全体のデジタル化は、CeBITのメインテーマだ。そこではクラウドやビッグデータ、IoTはもちろん、最近では人工知能やロボットも欠かせない要素技術になる。コンシューマー家電やモバイルの分野では他の展示会に負けた形になったCeBITだが、展示会の方向性を変えたことで別の大きなトレンドに乗ろうとしている。

CeBIT 2017について語る、ドイツメッセ理事のオリバー・フレーゼ氏(1月のプレビューイベントにて)