まずはたくさん見てみる

――自分の部屋を客観視できたとして、「演出」の完成形を具体的に思い描くことはけっこう難しいのではないでしょうか
そうですね。自分の好みって意外と自分では分からないんです。そういう人は、たくさんの実例を見るのが結局は近道ですね。インテリア雑誌を見たり、インテリアショップでモデルルームを見たり。「あ、こういうのいいな」と思うコーディネートが必ずあるはずですよ。そこから、好きなメーカーや好きなアイテムを見つけていくんです。

雑誌やインテリアショップで、いろんな実例をまずは見てみよう(画像はイメージ)

好きなモノが分かったら、今度はそのモノの何が好きなのか、色が好きなのかデザインが好きなのか、使い心地や機能性が好きなのか、自分は何を優先してモノを選びたいのかを考えてみてください。

例えば、「デザインが素敵だな」と思ったアイテムがあれば、誰がデザインしたのか、どこのメーカーのアイテムなのか、というところから興味が広がっていきます。そうして「こんなイメージが自分は好きなんだな」ということが分かれば、目指す部屋の雰囲気も見えてくると思います。

1つでいいから「見せたいモノ」を

――なるほど。何か取っ掛かりをつかむことが大事なのですね
そうです。1つでいいので「見せたいモノ」があることが重要なんですよ。大きな家具じゃなくて、小物でもいいです。食器でもいいですし、フィギュアでもいいですよ。

今はいろんな種類の小物や雑貨をネットやお店で見ることができますし、「あ、こういうの素敵だな」というモノをなんでもいいので探すことです。「見せたいモノ」があれば、それを引き立てるための部屋の「演出」が自然と組み上がっていきます。

「見せたいモノ」が決まれば、それが引き立つ「演出」が自然とできる(画像はイメージ)

収納を買うと部屋が散らかる!?

――よく分かりました。次は、部屋を「演出」するための具体的なテクニックについてお聞きしたいです
やはり必要になってくるのは、「モノを減らす」ということですね。目指す部屋の雰囲気にもよりますが、大体の場合、部屋の"適正なモノの量"は相当少ないです。まずはそこまで絶対量を減らすことです。

――やはり、捨てなければいけないわけですか。たくさんのモノを捨てることに抵抗がある人もいそうですが……
余計なモノを見極めて捨てられればそれが一番いいのですが、手っ取り早くモノを減らしたいのであれば、白い「バンカーズボックス」(※フェローズ・ジャパンの収納ボックス)を使うのがオススメです。

いらないものはとりあえず白い「バンカーズボックス」に詰め込んでしまおう(画像はイメージ)

「どうしても捨てられない」と思ったものを全部その中に入れてしまって、部屋の端に積み重ねておく。真っ白な「バンカーズボックス」は、ガムテープで封をした茶色い段ボール箱と違って、部屋にあっても違和感がなくオシャレに見えます。これが、一番簡単に「片付け」ができる方法ですね。

――なるほど。それならすぐにできそうです
しかし、これは「収納を増やせばいい」という意味ではありません。収納用品を買うと、結局そこに入るだけモノを増やしてしまうことになります。今ある収納を最大限に活用して、捨てられるものは捨てた上で、どうしてもモノがあふれてしまうときにだけ、「バンカーズボックス」などの収納用品を買うようにしてください。

――収納家具を買うとかえって部屋が散らかりやすくなる、ということですか
そうなんです。片付いているように見えても、収納家具があるだけ部屋は狭くなりますので、収納家具は最小限に抑えるといいですね。その点、「バンカーズボックス」は不要な時は折りたたんでおけるので優秀です。

部屋の色は3色以内に

――家具を選ぶコツはありますか?
大きなスペースをとる家具ですから、すごく慎重に選ぶことです。ショールームで座り心地や触り心地、色合いなどを確かめてみることが大切です。また、同じ形のアイテムでも、メーカーによってサイズや色合い、イメージが微妙に違いますよね。思いつきで買うと、幅や高さや色目がばらばらで、ちぐはぐな部屋になってしまいます。

――なるほど。では組み合わせ方のコツはどうでしょう
なるべく色を散乱させないことです。家具は同系色でまとめた方がまとまりやすいと言えます。

――目安としては、全部で何色くらいに抑えるといいのでしょうか
3色くらいでしょうね。約3色の中で、基調になる色やアクセントカラーを決めたり、濃淡を調整したりして組み合わせるといいです。

使う色は3色程度に(画像はイメージ)

特に、床の色は組み合わせの基調になるので重要です。例えば、白っぽい床の部屋に白いテーブルや白い棚を置くと、ボヤンとした印象に残らない部屋になってしまいます。ですので、濃い色のテーブルを置いたり、ポイントになる色をクッションに使ったりなどの工夫をする。インテリア雑誌なんかを見るとすごく参考になると思いますよ。

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