最後にバッテリーについて。ここでもW1チップが賢くて、駆動時間を管理することで、1回の充電で5時間聴き続けられる。キャリングケース兼充電ボックスは、24時間以上聴き続けられるように複数回充電できる。急ぎの時は、15分充電すれば3時間再生が可能。他社製の独立型ワイヤレスイヤホンの駆動時間は、フル充電で3時間程度というのが殆どだから、このバッテリーライフは、画期的と言って良いだろう。キャリングケース兼充電ボックスの充電はLightning接続で行うが、その際、中にAirPodsを格納しておけば、ケースとAirPodsの両方を一辺にチャージすることができる。また、バッテリー残量はケースにAirPodsを入れた状態でiPhoneに近づけて蓋を開けると表示される。iOSデバイスの「バッテリー」ウィジェットでも確認が行える。長いバッテリーライフと楽な充電というのもワイヤレスイヤホンには欠かせない、重要なポイントだと思う。前述のBeats Solo2 ワイヤレスは、LEDでバッテリーライフが分るようになってはいたものの、電源入れっぱなしで放置することが多く、気が付いたら切れてて、またバッグの中のケーブルをゴソゴソということの連続だった。それに充電するのが面倒くさくなって、結局、ワイヤードで使用するようになったりとか。

AirPodsを取り出したところ

AirPodsを格納したところ

蓋は置くと閉まる機構になっている

また、蓋を開けても磁石でくっついているので、AirPodsは落ちない。置くと閉まる機構とあわせて紛失防止に一役買っている

キャリングケース兼充電ボックスの充電はLightning接続で行う

EarPodsで聴いていた人なら、AirPodsでも十分に音楽を楽しめるとは思う。しかし音質に関しては、残念ながら筆者は、加齢などの理由で12kHzより上の帯域が聴こえなくなっており、語るのに相応しくないので割愛させて頂く。周波数特性を表示させて論じる方法もあったかもしれないが、正確に測定するためのスペクトラムアナライザーやカプラー、ダミーヘッドも用意できなかった。オーディオ批評家やITジャーナリストの殆どの方が40代より上、若くても30代後半なのに、皆、良い耳をしていて羨ましく思うことがある。言い方を変えると、非常に耳が良いか、各種測定機器を購入できる資本力がないとできない仕事なのかも、とも。

もうひとつ申告しなければならないことがある。実は筆者、9月のスペシャルイベントのタッチ&トライで、最初に試聴したとき、何コレ? 低音ペナペナで聴こえないという判断を下してしまったのだ。駄目だなと決め付けてその場を離れようとしたところ、隣で試聴してた人が「低音が太いね(英語)」と言っている。え?となって、もう一度、装着して聴き直してもやっぱり聴こえない。もしかしてと思い、本体を耳に押し込んでみると、Beatsのロゴが刻まれているかのようなファットなローが聴こえてくるではないか、一体どういうことか? 最初は気付かなかったが実は、筆者の耳の形状にAirPodsがフィットしていなかったということが起こっていたのだ。

Beats By Dr. Dreの「Beats Solo3 Wireless」(左)と「PowerBeats3 Wireless」。共に、W1チップを搭載

これは、問題としては大きいので、AirPodsを購入を考えているなら、試聴をお勧めしておきたい。別記事で取り上げるが、Apple Storeではトライオンできるスペースを設けているので、もし、フィットしないようなら、Beats By Dr. Dreの「Beats Solo3 Wireless」か「PowerBeats3 Wireless」に切り替えたほうがいいかもしれない。共に、W1チップを搭載したモデルなので、基本的にAirPodsと同じことができる。

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社内で何人かにAirPodsに触って貰ったのだが、初めて使ってみての感想をヒアリングしたところ、口を揃えたかのように「魔法のようだ」という答えが返ってきた。AirPodsの未来感がハンパないのは、実際に手にしてみればすぐに分かると思う。

ざっとチェックしてみて、やはりAirPodsの中核となるのはW1チップだと感じた。3P通話はできない仕様となっていると記したが、今後、それも可能になるかもしれないし、バッテリーの残量が20%切ったらSiriが知らせてくれるなど、さらなる進化も期待できる。AppleのWebサイトで公開されているAirPodsの紹介ビデオでジョナサン・アイブ氏が言うように、我々は、未来の入り口に立っているのだ。