米Synapticsは10月13日(米国時間)、同社の第2世代TDDI(Touch and Display Driver Integration)にハイブリッド・インセルに対応した新製品を追加すると共に、自動車向けの自動DDCI(Display Driver IC)である「CleaView」を発表し、これらの製品に関する記者説明会を都内で開催した(Photo01)。
Photo01:説明は昨年の説明会同様、Kevin Barber氏(SVP and GM, Smart Display Division)が行った |
まずは製品概観について。基本的には2015年の説明会と大きな違いは無く、スマートフォンやタブレット向けのタッチパッドや指紋認証、それとディスプレイドライバ/タッチコントローラが主であるが(Photo02)、今後のマーケットとしてウェアラブルと自動車も重要であるとした。
まず指紋認証については、今後も順調に搭載率が上がってゆくとしている(Photo03)。ただし単純に増えるというよりは、メインストリーム向けとハイエンド向けでマーケットが二分され、メインストリーム向けにはコスト重視の、ハイエンドには機能重視の製品がそれぞれ入ると予測しているとする(Photo04)。こうした指紋認証の普及に向けて、単にハードウェアだけでなく、ソフトウェアを含めたトータルソリューションとして2016年2月に同社が発表したのが「SentryPoint」(Photo05)である。
Photo03:これは台数ベースで、金額ベースではまたちょっと複雑なことになる |
Photo04:2017年の予測では、メインストリーム向けが8億9100万台、ハイエンド向けが4億4500万台となっている |
Photo05:SentryPointの概略は、同社がビデオでも提供している |
またハードウェアに関しても、現在は比較的薄いカバーガラスの下に指紋センサを埋め込む形になっているが、将来は厚いカバーガラスを通しても利用可能とし、もっと先には指紋センサそのものをTDDIに統合する予定としている(Photo06)。
Photo06:ガラスを薄く加工することそのものがコスト増になるので、メインストリーム向けには厚いカバーガラスの下に置いても動作することが好ましいし、TDDIに統合すれば更に低コスト化とデザインの自由度を高めることが可能になる |
次がメインとなるTDDI関連である。現在はTDDIは余り多くなく、DDIC(Display Driver IC)とTouch Controllerが別々に実装される方式が主流であるが、今後TDDIの比率が急速に増えてゆくと共に、OLEDの比率も段々増えてゆくと同社は予測している(Photo07)。
Photo07:ちなみにOLEDに関しては当面ディスクリートのTDDIとタッチコントローラのみで、TDDIの提供は今後の課題との話であった。理由は、LCDとOLEDでは信号に乗るノイズがまったく異なっており、LCD向けのTDDIとは別のノイズキャンセリング技術が必要との話だった |
また2015年6月に同社は「ClearForce Technology」を発表したが、これに対応したスマートフォンがすでに出荷されていることを発表した(Photo08)。
会場では実際にこれを使って、例えばピンチ動作の代わりに強く押すことでズームイン/アウトを行うといったデモも行われた。今のところこの圧力に関してはOSでの標準サポートは無く、特定のアプリケーションのみでの対応となるが、応用例として例えば「強く押さないと選択できない」(ちょっと手が触れただけでアプリケーションが立ち上がったりするのを防ぐ)といった、ユーザビリティを高める工夫が出来ることを示した。