オムロンが開発した世界初の卓球コーチロボットが、ギネス世界記録として認定された。それを受け、10月3日にギネスワールドレコーズジャパンのディレクターからオムロンの長谷川専務へ認定証が手渡された。

産業用コントローラー+AI技術の卓球コーチロボ、ギネス世界記録に認定

この卓球コーチロボットは2013年にデビュー、翌年のCEATEC JAPAN 2014で日本初公開。以降毎年改良を重ねている。今年は中央のネット部分を液晶表示にして、わかりやすいインフォメーションにした点が大きな差になるという(ちなみに、昨年のCEATECののちに「FORPHEUS(フォルフェウス)」という名前が付いた)。

世界初の卓球コーチロボットとしての認定証を授与するギネスワールドレコーズジャパンのディレクター(右)と、オムロン 執行役員常務CTOの宮田喜一郎(右)

ギネス認定書と匠NIPPON2016のパネル。匠NIPPONは日本の優れた技術を日本の技術者、研究者、職人たちのあくなき探究心・挑戦心を刺激し、その力を世界に発信することを応援するギネスワールドレコーズジャパンのプロジェクト

FORPHEUSは毎秒80回の撮影によりボールの軌跡を把握し、相手の技能レベルに合わせた返球を行うことで、卓球初心者の練習として望まれる「長いラリー」を実現する。基本的にはオムロンの産業用ロボットのセンサーや制御コントローラー、パラレルコンピューターを使用しており、ここにAI技術を加えた「Sensing & Control +Think」技術を駆使しているのが特徴だ。

卓球ロボ「FORPHEUS」は今年で三代目。と言ってもバックエンドのコントローラーやパラレルコンピューターは「市販品と変わらない(説明員)」ということで、ソフトウェアがキモのようだ

オムロンは社会課題の解決のために従来のSensing&Controlに+Thinkを加えるという

+Think技術によって産業のみならず、生活や社会での生活課題を解決するという事で、生活に関しては血圧を毎回の鼓動毎に測定する技術を開発中。これによって日に数回のチェックでは把握できないパルス状の高血圧を把握したり、ドライバーの状態をセンシングしたりすることができる。展示会場にはセンサーも含めた展示が行われていた。

生活課題の解決策の例。血圧を毎回の鼓動毎に一日10万回測定することで、今までの診断ではチェックできなかった異常値を把握。このようなピーク的な高血圧でも脳溢血等の原因になるという

社会課題の解決策の例。自動車の外側にセンサーを配置するだけでなく、ドライバーの集中度をチェック。ここでは三段階のレベルのパーセント表示で問題状態を表示している