2016年9月28日(米国時間)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14931を、ファーストリングを選択したPCおよびモバイル向けにリリースしたことを公式ブログで明らかにした。新たなMicrosoft Edge用拡張機能や、ファイル共有機能の改善、Windows Subsystem for Linuxの更新が行われている。
Microsoft Edgeに2つの新機能拡張が登場
Windows 10 Insider Preview ビルド14391では、Microsoft Edgeに新たな拡張機能が加わった。それが「Tampermonkey」である。執筆時点では「ストア」から参照できないため、先のリンクから参照する他はない。Tampermonkeyは特定のWebサイトに対して機能拡張や表示内容をカスタマイズするJavaScriptベースのユーザースクリプトを実行する基盤だ。既にMozilla FirefoxやGoogle Chrome版がリリース済みのため、利用してきた方も少なくないだろう。かく言う筆者は長年Mozilla FirefoxでGreasemonkeyを浸かっているため、実は今回初めて触れることになる。
ユーザースクリプトを管理・配布するサイトは少なくないが、これから始めるのであれば「Greasy Fork」あたりが無難だろう。Microsoft Edgeでアクセスし、気に入ったユーザースクリプトページの<スクリプトをインストール>をクリックすれば、ワンステップでインストールできる。後は対象となるWebサイトにアクセスすれば、その結果を確認できる仕組みだ。下図はGmail Compactインストール前後の状態を撮ったものだが、ご覧のとおりユーザースクリプトが稼働し、その効果を確認できる。
もう1つの拡張機能が「Turn Off the Lights for Microsoft Edge」。YouTubeに代表される動画サイトにアクセスした際、自動もしくは手動で背景部分の配色を黒色に変更することで、映像に対する没入感を高めるというものだ。指定したWebサイトに応じて内蔵/Webカメラや音声認識の有効化も行える。
Microsoft Edge用拡張機能は、今回のTurn Off the Lights for Microsoft EdgeとTampermonkeyを含めると、(Microsoft Personal Shopping Assistantなど、ストアに並ばない拡張機能もあるので不明確だが)15アイテムを超えた。だが、Webブラウザーの利便性を高めるという意味では、Tampermonkeyがもっとも大きな存在となるだろう。なぜなら利用者が普段からアクセスするWebサイトに応じてユーザースクリプトを取捨選択することで、爆発的に使い勝手が向上するからだ。もちろん過度にユーザースクリプトを追加していくと、その分JavaScriptを実行するため、Microsoft Edgeの動作や表示スピードが緩慢になるリスクはあるものの、Mozilla FirefoxやGoogle Chromeで当たり前に使えてきた機能がMicrosoft Edgeにも加わったことになる。
WSLの更新とUbuntu 16.04への対応
OSビルド14936では、NASデバイスとファイルサーバーへの接続に影響を与える認証についても変更が加わった。以前のビルドでは、SMB共有を行ったNASデバイスや他のPC上で設定した共有フォルダーをネットワークドライブ化しても、消えてしまう問題が発生していたという。筆者も普段からNASや他のPCの共有フォルダーを参照していたが、特に違和感を覚えることはなかった。これはセキュリティ情報MS16-110が起因する問題らしく、Microsoftアカウント有効時にWindowsファイアウォールプロファイルにアクセスすると、ゲストまたはパブリックネットワークのSMBリソースにNTLM認証が可能になっていたセキュリティホールが関係していたという。ネットワーク設定を"プライベート"にしている場合、大きな問題とはならないだろう。
また、WSL(Windows Subsystem for Linux)の更新も、OSビルド14936で加わった変更点の1つ。従来はUbuntu 14.04 LTSのイメージファイルを展開していたが、本ビルドからUbuntu 16.04に変更している。「lxrun /install」で更新できるとあるが、筆者が確認したところ、既にBUW(Bash on Ubuntu on Windows)を有効にしている場合は正しく動作しない。そのため、「lxrun /uninstall /y」を実行して一度アンインストールを実行してから、再度インストールを実行するとイメージファイルのダウンロードが始まった。だが、執筆時点ではイメージファイルが更新されていないのか、Ubuntu 16.04に更新できない。
そこでMicrosoft WDG(Windows and Devices Group) ソフトウェアエンジニアのDona Sarkar氏は「do-release-upgradeコマンドを使え」と述べているため、「sudo apt-get upgrade -y」で必要なパッケージを更新してから、「sudo do-release-upgrade」をコマンドを実行したところ、少々時間を要したが、無事Ubuntu 16.04に更新できた。なお、WSLのリリースノートを確認すると、chrootシステムコールの実装も新たに行われている。BUWも着々と完成度を高めているようだ。
OSビルド14936の修正と既知の問題
さて、ここからはPC版およびモバイル版の修正内容と既知の問題を紹介する。まずはPC版の修正箇所から。
- 「ナレーター」と「Grooevミュージック」を同時使用中に、コントロールが利かない問題を修正した。
- 「設定」で[Tab]キーを押すと応答しなくなる問題を修正した。
- 複数のネットワークスイッチが原因でエクスプローラーが頻繁にクラッシュする問題を修正した。
次はPC版で確認された既知の問題を紹介する。
- 「Windowsの機能」によるコンポーネントの管理が正しく動作しない。その場合は、1度チェックボックスのオン/オフを切り換えてPCを再起動してから、再び有効にする。
- Tencent製アプリケーション/ゲームを実行すると、BSoD(BlueScreen of Death)が発生する問題を確認している。
- 「sfc /scannow」コマンドを実行すると、20パーセントでエラーが発生する。
今度はモバイル版の修正内容を紹介する。
- PINパッド(PIN入力用の数字キーボード)が表示されず、ロック解除できない問題を修正した。
- いくつかのデバイスでSIMカードが認識しなくなる問題を修正した。
- モバイルホットスポット機能を初めて使う際、スマートフォンを再起動するまで使用できない問題を修正した。
- Lumia 650などの1部のデバイスで、エラー0x80188308が発生し、新しいOSのインストールに失敗する問題を修正した。
- OSビルド更新時にエラー0x800703edが発生し、失敗する問題を修正した。
- アクションセンターが空の状態でスワイプしても閉じない問題を修正した。
- アクションセンターに通知が表示された際、予期せぬアプリケーションロゴが表示される問題を修正した。
- プリインストールOSがWindows Phone 8.1だったLumia 930およびLumia 1520で、ヘッドセットが正しく動作しない問題を修正した。
最後にモバイル版に関する既知の問題を紹介する。
- アプリケーションのインストール先としてSDカードを指定している場合、WeChatやFacebook Messenger、WhatsAppといったアプリケーションがエラーになる問題を確認している。回避するにはインストール先を既定(本体のストレージ)に戻す。
阿久津良和(Cactus)
■前回の記事はこちら ・Windows 10 Insider Previewを試す(第67回) - 今回はPC向けIPのみリリースしたOSビルド14931 http://news.mynavi.jp/articles/2016/09/23/windows10/ ■バックナンバー 一覧へのリンク http://news.mynavi.jp/tag/0021413/ |
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