自分のニオイは自分では気づけないってホント?

日常生活で、自分のニオイより他人のニオイが気になったことはないだろうか。例えば電車の中で汗臭さを感じても、汗を大量にかいていない限り、すぐに「自分のニオイかも!? 」と自覚するのは難しいはずだ。

一方、女性を中心に"自分のニオイを気にしすぎてしまう"という人もいる。その場合、実際には臭っていないケースも多いようだ。では、自分の発するニオイに自分で気づき、客観的に評価するためにはどうすればいいのだろうか。

そこで今回は、皮膚科・美容皮膚科の中村仁美医師に、体臭に関するさまざまな疑問についてお聞きした。

――皮膚科には、どのようなニオイに関して相談に来る患者さんが多いですか?

足やワキが汗臭く感じると心配されて受診する方が多いです。ご自身で気になって来院される方もいますが、家族やパートナーからの指摘がきっかけでいらっしゃる方も多い印象ですね。

――ニオイの原因について教えてください。

汗は本来無臭ですが、足・ワキの皮膚表面で皮脂・細菌が繁殖し、それが汗と混ざってニオイの原因になります。ワキの場合、ワキ毛があるとそこに汗がたまり、より細菌が繁殖しやすくなります。足やワキに関わらず、汗をかいたらそのままにしないでタオルで優しく拭き取り、そのあと市販の汗拭きシートなどを併用すると、より快適に過ごせるでしょう。

――ニオイに男女差はありますか?

女性に比べて男性は、男性ホルモンの影響で皮脂腺が発達しています。皮脂がより分泌されているので、脂っぽいニオイがするのが特徴です。また、皮脂腺は体の部位によりその数に違いがあり、多い順から「頭・顔>胸背部>四肢」となります。

男性の頭皮や顔が脂っぽいニオイ・脂っぽいイメージで揶揄(やゆ)されることがあるのは、こういったことに起因するのですね。

――ニオイを予防する食品や悪化させる食品はありますか?

ワキ汗などの体臭とワキガ(腋臭症: ワキのアポクリン汗腺から分泌されるアポクリン汗のニオイが特に強いもの)を防ぐためには、穀物や野菜、魚に多く含まれている、ビタミンA・C・Eやポリフェノール、ベータカロチン・カテキンなどの成分を摂(と)るようにすると良いでしょう。

ビタミンAは、皮膚の新陳代謝を促進し、抵抗力を高め、ワキなどに存在する細菌の繁殖を防ぎます。ビタミンC・E、ポリフェノール、ベータカロチン・カテキンには、抗酸化作用があり、ニオイの原因である過酸化脂質を防ぐ効果があります。整腸作用がある乳酸菌や食物繊維を多く摂ることもおすすめします。

逆にニオイを悪化させる可能性があるものとして、肉類や乳製品、油を多く使う食事、ニンニク・玉ねぎなどのニオイの強いものなどがあげられます。肉類や乳製品、油を多く使う食事は、皮脂腺や汗腺に変化(皮脂分泌量の増加、アポクリン汗腺の活動の活発化)を起こすためです。