福井晴敏氏

都内・秋葉原UDXシアターにて5日、劇場アニメ『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』の制作発表会が行われた。

本作は、日本SFアニメの名作『宇宙戦艦ヤマト』を最新技術で完全リメイクしたTVアニメシリーズ『宇宙戦艦ヤマト 2199』(2013年4月~9月)から3年の時を経て制作される新シリーズ。1978年に公開された劇場アニメ『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』をモチーフに、『機動戦士ガンダムUC』原作の福井晴敏氏を脚本に迎え、第1章が2017年2月25日より劇場上映、デジタルセル版先行配信がスタートする(全7章)。

ステージに登壇した福井氏は、「『ガンダム』の時にも感じましたが、歴史があるものというのは、それを見てこの業界に入ってきた人がいる。そういった人たち、そしてご覧になっていただくファンのみなさんの期待に応えていくことの大変さを日々噛み締めながら頑張っています」と人気シリーズに新たな物語を紡ぐ難しさについてコメント。オファーを受けた時のことについて、「『これはのるしかないぜ!』と思いながら、一方で世間的には『この男はなんて節操がないんだ』と間違いなく思われる」と逡巡もあったというが、「作ったものでその本気度合いを見せていくしかないと思いました」と強い意気込みを語った。

また、福井氏は、モチーフとなった『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』が、戦後を忘れてバブルへと突き進んでいく時代を背景に、「今の日本の若者たちはこれでいいのか」という問いかけと同時に「見方によっては特攻を賛美するような展開になってしまった」と言及。「それを今の時代にそのまま蘇らせるのは難しい。今の時代状況で、あの『宇宙戦艦ヤマト』、それも「愛の戦士たち」というサブタイトルまで引き継いでやるというのは覚悟のいることではありました」と心情を吐露しつつ、「でも同時に、これは今でなければやる意味がない。それぐらいの思いで取り組んでいます」と、あらためて意欲を表明した。

そして最後に、「『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の現代的な再構築ですから、前作の結末から不安を覚えるお客様もいるでしょう。作品は時代を映すものですから、作品自体は過酷にはなると思います。でもフィクションというのはどこかに希望であったり指針を提示できてはじめてフィクションですから、そのことに関しては今回我々はしっかりやれたと確信していますので、最後まで期待をもって見ていただければ」と呼びかけた。

(C)西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会