2016年8月17日(以下すべて米国時間)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14905を、ファーストリングを選択したPCおよびモバイルにリリースした。OSビルド14091に続く2つ目のInsider Previewだが、PC版はバグフィックスが中心となり、モバイル版はサウンドスケープ(音風景)を改善するための新機能が加わっている。

Windows 10 Mobileに新サウンドセットを追加?

Microsoft WDG(Windows and Devices Group) ソフトウェアエンジニアのDona Sarkar氏は、「Windows Insider Programの革新的な精神を反映するデザイン」「インサイダーであることが分かるWindowsロゴデザイン」というルールの元、インサイダー専用Tシャツをプリントしたことを公式ブログで発表した。Tシャツはインサイダー向けプレゼントなどに用いられるだろうが、希望者には「Microsoft Merchandise Store(ecompanystore.com内のMS専用サイト)」で近日中に発売されるという。日本国内から購入できるか不明だが、気になる方は確認してほしい。

インサイダーからの投票で作成されたTシャツ

さて、OSビルド14905はファーストリングを選択したPC/モバイル環境に配信しているが、そもそもモバイル版は今回が初のInsider Previewとなる。また、モバイル向けAnniversary Updateは、配信がPC版と比べて遅れており、2016年8月16日にようやく配信開始。MADOSMAやVAIO Phone Bizなど国内デバイスにも配信されているようだが、筆者が使用しているWindows 10 Mobileデバイスでは未確認だ。また、同日16日にはリリースプレビューを選択しているPC/モバイル環境へOSビルド14393.82を配信したように、以前と様子が異なっている。OSビルド14393.67から1409xへ更新する際、一部の環境で発生する不具合を改善しているのではないだろうか。

以前リリースプレビューを選択していたWindows 10 Mobileデバイス(現在はWindows Insider Programに参加していない)に降ってきたOSビルド14393.82

それではOSビルド14905の新機能を確認したい。本ビルドではWindows 10 Mobileに新たなサウンド機能が加わっている。Sarkar氏は「我々はモバイルサウンドの品質を高めるため、美しく調和のとれたサウンドスケープを作り出そうとしている」と説明し、「設定」の＜個人用設定/サウンド＞に並ぶ設定項目を更新しているという。確認した限りでは大きな変化は見られなかったが、デバイスによって動作が異なるのだろうか。推測の域を超えないが、Lumiaブランド時代に同こんしていたイコライザーなどの機能を含めていくのだろう。

OSビルド14095の＜サウンド＞。基本的な設定項目は以前のビルドと差がない

ここからはPC版の修正内容と既知の問題を紹介する。まずはPC版の修正箇所から。

  • Microsoft Edgeで新たなタブを開くとアドレスバーが上部へ移動した後に、アドレスバーとWebコンテンツの間に大きな空白が発生していた問題を修正した。
  • 「ナレーター」のスキャンモードを更新し、［Ctrl］+［Alt］+［Home］キーを押すとテーブルと最初に、［Ctrl］+［Alt］+［End］キーを押すとテーブルの最後に移動する機能が加わった。
  • Microsoft Edgeのショートカットキーとして、アドレスバーをフォーカスする［Ctrl］+［O］をサポートした。
  • Windows INKワークスペースの「スケッチパッド」および「画面スケッチ」使用時に、デジタル定規を表示させた状態で2回連続インクの色を変更するとクラッシュする問題を修正した。

Microsoft Edgeは、アドレスバーをフォーカスする［Ctrl］+［O］キーが加わった

次はPC版で確認された既知の問題を紹介する。

  • FireWire(IEEE 1394)経由のカーネルデバッグ機能を削除しているが、今後リリースされるDebugging Tools for Windowsでサポートする予定。
  • Adobe Acrobat Readerを起動するとクラッシュする問題。
  • Cortanaによるテキストから音声変換機能が動作しない。例えば冗談や歌うといったアクションを求めることができない。
  • ＜スタート＞メニューに並ぶ＜電源＞ボタンのサブメニューが開かない。再起動やシャットダウンを実行するには、［Win］+［X］キーを押すか＜スタート＞ボタンを右クリックすると開くクイックアクセスメニューから実行する。
  • GoogleやSkype Translator previewなど一部のアプリケーションはプラットフォームの変更に伴い、互換性の問題が原因でクラッシュする。
  • dllファイル不足が原因で特定エディションの「設定」がクラッシュする。Microsoftは早期の修正に取り組み中。

OSビルド14095では、電源ボタンを押してもサブメニューが表示されない問題が確認されている

ここからはモバイル版の修正内容と既知の問題を紹介する。まずは修正箇所から。

  • 不在着信通知より実用的なコールバックを行うため、インラインオプションを用意した。
  • Windows Phone 8向けアプリケーションで動画再生時に着信があっても一時停止しない問題を修正した。
  • (日本語版では未対応の)IDブロック機能が正しく動作していない問題を修正した。
  • ロック画面変更後にタイムゾーンの設定変更に失敗する問題を修正した。
  • 「マップ」アプリケーション使用中に着信があった場合、再生中の楽曲が復帰しない問題を修正した。

最後にモバイル版で確認された既知の問題を紹介する。

  • 内部ストレージとSDカード間でアプリケーションを移動すると、保留状態で止まってしまう。復活させるにはアンインストールし、「ストア」から再インストールする。
  • Cortanaによるテキストから音声変換機能が動作しない。例えば冗談や歌うといったアクションを求めることができない。

阿久津良和(Cactus)

■前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第63回) - 「Redstone 2」へと続くOSビルド14901リリース
http://news.mynavi.jp/articles/2016/08/15/windows10/
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