8月6~7日にかけて、東京ビッグサイトにて、ものづくりをする人々=「Maker」が集う祭典として世界的に開催されている展示会「Maker Faire Tokyo 2016」が開催された。

3DプリンタやArudino、Raspberry Pieなどの普及と共に、日本でも定着・拡大してきた同イベント。昨年に引き続き8月に行われたことから、会場には多くの子供達の姿も見えた。

ここでは、会場にひしめく数多のMakerたちの作品の中から、筆者がその目で見て特に気になったものをお届けする。

きゅうり×ディープラーニング、グラフィティ×Fabなど多様な展示

昨今注目を集めるディープラーニングを活用し、品質・サイズに応じてきゅうりを仕分け(選果)する「CUCUMBER-9」。なぜきゅうり?というと、制作者自身がきゅうり農家で、こうした電子工作は趣味で行っているとのこと。開発の記録はブログにて公開されている。

「CUCUMBER-9」

こちらは小動物の動きを模したロボット「けだまちゃん」。「タチコマ1/2サイズリアライズプロジェクト」を進行しているkarakuri productsの製品で、まるで呼吸をしているかのような動きをするTypeA、物音に驚く動作を再現したTypeBが展示されていた。TypeAの動きはさながら猫のお腹のようなリアルさだった。

動きの様子を映した動画はブログで見られるが、触ってみると見た目以上に本物らしい

PC(パーソナルコンピュータ)を国内に広めたといわれるNECの「PC-8001」をBluetoothキーボードに改造した作品。「昔のPCは打鍵感がとてもいい。今の人にもぜひ触ってみてほしい」と語っていた。その一方で、若者文化ともいえる「グラフィティ」を街中にラクガキすることなく楽しめるツール「XALIVE」を展示している人がいる。開発にあたり、アルファベットでも日本語でも描けるよう、筆のトメを反映したという。年齢、職業などによらず、つくりたい人が一堂に会するこの"ごった煮感"がMaker Faireの醍醐味と言えると思う。

cresc1973氏が制作した、PC-8001Bluetoothキーボード

約80種のピースを組み合わせ、文字を再現。レーザーカッター用のデータを配布しており、ハッシュタグによるSNSでの写真共有を含めたプロジェクトとなっている

これ以降は、写真とキャプションで当日の"ごった煮"感をお届けしていきたい。

Assistech Design Labの立位形筋電車いす。操縦者は頭に筋電位を測定する装置をつけて制御する

夏のロボットが製作した改造Pepper。元の筐体よりかなりロボ度が増している

日本畳楽器製造with自動演奏ロボットによる「音楽ロボットこさん君」の実演。きらきら星をのどかに演奏し、見た人が和むようなほのぼのとした動きを見せていた

和田永「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」の扇風琴(せんぷうきん)。扇風機に光源を搭載し、回転で起こる光の明滅を電気的な波に変換して演奏する。旧型の扇風機を改造しているとのことで、どこかレトロなルックスが楽器らしさを増している

SRSIVのLEDネイルチップ。超小型マイコンを内蔵し、色が変化する。同プロジェクトでは人文学のアプローチから電子部品アクセサリーを開発している

ブレッドボードをはじめ、電子回路をお菓子で作るユニット「BreadBoard Baking」の展示

金属や木で作られる活字を紙で作ってひとつずつ刷る「紙活字(PaperType)」

ガラス工芸作家・Lavinbaの照明のプロトタイプ「たきび」。リモコン操作で炎のゆらめきを変えられる

Maker Faireには近年企業の参加も増えている。ヤマハのブースで展示されていた手作りIoTギターは、ボディにRaspberry Pi Zeroを搭載。Wi-Fi経由でDropboxと連携し、演奏を録音することができる

小学6年生のkogame氏が制作したレインボーメリーゴーランド。WEBカメラ+Raspberry Pi3で撮影した会場の写真を、5分ごとにTwitterにアップしていた。本体はCAD(Fusion360)+3Dプリンタで出力している

銀ナノインクを用いた印刷回路を提供するAgICのブースでは、印刷で作るフィルム形ヒーター「プリサーモ」などを展示していた

BioClubが展示していた成果物のひとつである、バクテリアの色素を利用した染料の提案

正式名称は1段式観測ロケット「モモ」だが、「ホリエモンロケット」と言った方が通りがいいかもしれない

KOJIMA KUNIO氏が制作した、国際宇宙ステーションの位置をリアルタイム表示する「ISS TRACKER(3D)」

会場入り口前の特設会場では、NY発祥のミニチュアカーレース「Nerdy Derby」が行われていた。ワッシャーをタイヤにしたミニカーを、傾斜をつけたコースで走らせるきわめて明快なルールに、子供達が自作の車を持って参加していた