アップルは6月13日に、米国カリフォルニア州サンフランシスコで、年次開発者イベントWWDC 16を開催した。抽選とスカラーシップで選ばれた5500人以上のApple開発者コミュニティの人々が、1週間にわたり、最新の技術やデザインに触れる。
初日の基調講演では、アップルの製品群であるiPhone、Apple Watch、Apple TV、そしてMacのための最新OSが披露された。いずれも開発者向けには即日ベータ版が公開され、秋のリリースに先駆けて、一般のユーザー向けにも、プレビュー版が7月に公開される予定だ。
アップルのビジネスの核は、自他共に、iPhoneであることを認めている。開発者向けのイベントであるWWDCでも、iPhoneに関するソフトウェア的な進化、そしてアプリ開発の上で利用できるようになった新機能についての解説に時間が割かれた。
新OSは、Androidの切り崩しなるか?
アップルは、グーグルと数々のデバイスメーカーが参加するAndroid陣営との間で、競争を繰り広げている。IDCの最新のスマートフォンシェアによると、2016年第1四半期、アップルのiPhoneは18.3%という結果だった。
世界全体での販売台数の成長が止まった状況において、アップルは、販売台数を牽引してきた中国市場のブレーキの影響を大きく受け、前年同期比16.3%減となった。
今回の発表されたiOS 10が、アップルのスマートフォン業界での勢力や、iPhoneの販売台数そのものを直接的に押し上げる要素になるか? と言われると、大きな影響はないのではないか、と考えられる。
最も安いiPhoneでも、iPhone SE 16GBモデルの399米ドルであり、今後成長市場として見込まれている新興国の平均的なスマートフォンの4倍の価格である。
とはいえ、値段を下げるiPhoneの低価格化に踏み切るよりは、アップルのブランド価値保ちながら、価値に共感してもらうユーザーを広げていくほうが良いだろう。iOS 10には"体験"というブランド作りに取り組むアップルの姿を見ることができる。