声優アイドルユニット・i☆Risが、ワンマンライブツアー「i☆Ris 2nd Live Tour 2016~Th!s !s i☆Ris!!~」のファイナル公演を5月21日、Zepp Tokyoにて開催した。

i☆Ris

i☆Ris(アイリス)は山北早紀、芹澤優、茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢、澁谷梓希の6人からなる声優アイドルユニット。「i☆Ris 2nd Live Tour 2016」は昨年に引き続き2度めの全国ツアーとして、4月24日の福岡公演を皮切りに、札幌、宮城、大阪、名古屋と全国をめぐってきた。そして、今回の東京公演は千秋楽であると同時に、昨年の1stライブツアー最終公演と同じZepp Tokyoで行われる、いわば凱旋ライブとなる。4月20日に発売した2ndアルバム『Th!s !s i☆Ris!!』の楽曲を中心に、アンコールを含む21曲を披露し、会場2,700人を魅了した。

グリーン、ブルー、パープル、レッド、オレンジ、イエローの各メンバーカラーのレーザー光線がステージを照らしライブスタート。ステージに設置された6つの扉より姿を現したのは、タキシードを模した衣装に身を包んだi☆Ris。最初に披露した曲は「ドリームパレード」、そして「ブライトファンタジー」、「§Rainbow」と息をつく暇もなく3曲連続で繰り広げる。いずれもTVアニメ『プリパラ』、『プリティーリズム・レインボーライブ』で使用された自身の代表曲だけあり、会場の熱気はすでに最高潮に達している。ツアーラストだけあって、完全に仕上げてきている。

芹澤は「このツアー中に優勝ということばを知りました(昂ぶったときに使用し、主に「最高」に似た意味合いのネットスラング)。ゆう(優)ちゃんのゆうは、優勝のゆうじゃないかな! 今日はがんばります!」と本ライブを最高のものにする自信はたっぷりな様子だ。

山北早紀

芹澤優

茜屋日海夏

山北、芹澤のデュオ曲「Over the future」は、サビ部分が上と下のパートで分かれているものの、どちらも主旋律を歌っているという曲。異なる個性のぶつかり合いという言葉がよく似合う曲だが、絶妙なバランスで調和している。7月に開催される結成4周年ライブや、11月に行われる日本武道館ライブなど、これからも大型イベントが控えているi☆Ris。今回のツアーファイナル公演は、まだまだ通過点に過ぎないという気概をここで感じたのは、常にユニットを引っ張ってきたリーダーである山北の存在が大きくフィーチャーされた曲だからかもしれない。「支えてくれた人たちが いてくれた今こそ信じて進める」という歌詞も響いてくる。

続く「My Bright...」は若井のソロ曲。メンバーの中で唯一ソロデビューもしており、メンバーから歌唱力の信頼も厚い若井は、今回のツアーでは唯一のソロを担当。「My Bright...」は『Th!s !s i☆Ris!!』の収録曲だが、自身いわくまだ未完成の曲。ライブで何度も披露をしていかないと「本当の自分の歌」にはならないとかつて語っていたが、今回のライブですでに完成している。そして同時に、まだまだ成長していく。そう感じさせる曲だった。

久保田未夢、茜屋日海夏、澁谷梓希の3人曲「Secret Garden」は、茜屋がずっと歌いたかったというモーニング娘。をほうふつさせるラテン調の曲。楽曲も参加メンバーも異色の組み合わせだが、実際にステージでの3人を観ると存外しっくりくる。特に久保田のセクシーさには目を奪われた。

若井友希

久保田未夢

澁谷梓希

ライブも中盤に差し掛かったころ、アイドルと声優というふたつの顔を持つi☆Risだからこそできる恒例のコーナー・アフレコ劇が始まった。舞台はヴァンパイア王国……、人間界のアイドルにハマるヴァンパイア王国の国王だが、オタク活動により腰を悪くしてしまい人間界に行くことが困難になったため、ヴァンパイア王国にアイドルを作ろうと6人のヴァンパイアを集める……、といったところからストーリーははじまる。i☆Risの6人がそれぞれヴァンパイアを演じていき、一週間後に迫ったライブに向け、アイドルとして必要なキャッチフレーズやダンスなどを練習していく。そして、とうとうやってきたライブ当日。流れた曲は、ヴァンパイアをテーマとした「Vampire Lady」。新たなヴァンパイアが生まれるというストーリー性を持ったダンスや、山北のセリフ「君だけだよ」にファンからは喝采が起こった。

白を基調にそれぞれのカラーの星が散りばめられた、天使をモチーフとしたワンピースに着替え、傘を用いたダンスが特徴的な「YuRuYuRuハッピーデイズ」。曲中、彼氏彼女に扮した澁谷と若井の掛け合いも見事だ。歌唱後、山北は「これから梅雨だから、この曲を流して元気に!」とコメントしていた。

ミュージカルを思い起こすファンタジックな「幻想曲WONDERLAND」は、曲の始まりと終わりのセリフを久保田が担当。終わりのセリフは毎回違い、今回のツアーでは各公演ごとにその都市の方言を用いたものとなっている。例えば福岡公演では「福岡絶対また来るけん、待っとってね」、大阪公演では「また絶対大阪来るから、ええ子に待っとるんやで、ほな、さいなら」となっていた。今回の東京公演では方言ではなく、「わたしはみんなのことが大好きです。みんなは私たちのこと、好きですか?」とファンに投げかけるものとなっている。セリフの直後、怒号のような勢いで寄せられた愛の言葉を受け止める久保田は、自ら「わんわん王国のお姫様」を名乗るだけのことはある姫の貫禄と笑顔を見せつけていた。

ほかにも、「Make it!」、「Realize!」とお馴染みの楽曲でラストスパートをかける。そして、最後の曲「Goin'on」は、2015年3月までの『プリパラ』第2シーズンラストのオープニングテーマ。終わりを感じさせつつも未来に向かっていくという、寂しさと明るさが混在したこの曲はまさにラストを飾るにふさわしい曲だ。

アンコールでは6月1日発売の12thシングル「Ready Smile!!」、1stシングルの「Color」、そして「Raspberry night」をしっとりと聴かせた。

ラストMCでは、まず澁谷が口火を切った。「去年、このステージに立っていたときはロングのツインテールだったんですけど、この一年でいろいろありました」と自らの路線変更に触れる。髪を短くしたり、雑誌の企画で男装をしたりと、いままでの澁谷からはガラッと雰囲気の変わった一年だった。「こういうふうにありたいんです、と関係者の人に話したら、その路線でやっていいよと言われました。でも、正直ここまで不安な気持ちもありました、受け入れてもらえなかったらどうしようと……。自分がやりたいと思った道を進んでいきたいと思います。この先も澁谷梓希を長い目で見ていただけたらと思います。澁谷は絶対にみんなを裏切りません!」と涙をにじませながら語った。

次いで久保田。「一年ぶりにZepp Tokyoに戻ってきました。しみじみ思います。この一年でi☆Risや久保田のことを好きだよって思ってくれる人が増えて本当にうれしい。みゆのこと、好き?」と問いかけると、客席から放たれる「大好き」の嵐。「今まで生きてきたなかでこんなにたくさんの人に、好きって言われるのは初めてです。好きって気持ちがこれからもどんどん続いていって、お互い今日楽しかったねって、笑っていられるようにいたいです」と姫様は微笑んだ。

「去年は悩んだり、もがいてきた一年でしたが、いまの自分は確実に成長してる、やりたいことに向かって進んでますって自信を持って言えます!」と若井。「11月には武道館でのライブもあるし、このツアーも武道館につながる大事なものになったと思います。またこれからこの一年を見届けて欲しい、私たちに期待して欲しいです!」とポジティブさを常に忘れない若井らしい前向きなコメントを残した。

茜屋は「ツアーが始まるまですごく怖かった。いろいろ悩んで、考えて、うまくいかなかったらどうしようと不安でした。ステージに立つまで怖かった……。でも今日、ステージに立って、みんなの顔を見たら不安が一瞬で吹き飛んで、私たちを待ってくれてるみなさんがいるからこんなに楽しめるんだなって実感しました……! 今日はめちゃくちゃ楽しいです! 今年のツアーでは精神的に成長できました」と笑顔たっぷり。

芹澤もファンに対し、「ツアーをやっていて、本当にライブって自分ひとりでやっているものじゃないなと思いました。完璧に踊れたと思っても、(観客を指差しながら)目の前の君が笑ってくれなければなんの意味もないんだなって。みんながいないとライブじゃないし、みんながいないとゆうじゃない。みんなが私という人間を作ってくれる。そう感じたツアーでした」と感謝の言葉を述べた。

そして、リーダーの山北は開口一番に「優勝!」と発し、「ほんと楽しかった。私、こう見えて25歳になったので、ぶっちゃけ疲れちゃったのね(笑)。これが25歳の壁かと思い、若干悩みつつ、ツアー中に漢方を飲み始めたの」と真情を吐露した。「ライブは一期一会、生物ですから、みなさんの協力あってのライブです。この間、地元の札幌で友だちと飲んだときに、素敵なステージに立って、やりたいことをやれているさきはすごい、と言われて、まだまだがんばりたいと思いました。漢方と、みんなの応援が必要なので、これからも応援おねがいします! まずはこの(ライブができる)幸せを続けていこう。武道館で終わらねーぜ!でも、まずは武道館に向けて、一人ひとりできることをがんばって、個性を磨いて、i☆Risはどこにもいないようなグループになりますので、これからも心から応援よろしくおねがいします!」と締めくくり、i☆Risは無事、「i☆Ris 2nd Live Tour 2016」を走り終えた。

また、i☆Risから重大発表として、8月3日に13枚めのシングルをリリースすることが決定。今回は、芹澤が出演しているTVアニメ『双星の陰陽師』7月クールOPテーマ曲のタイアップとなる。さらにi☆Risは、7月9日に河口湖ステラシアターで「結成4周年LIVE♪」を、11月25日には日本武道館公演も控えている。

i☆Ris、TVアニメ『双星の陰陽師』祝OP決定メッセージ


「i☆Ris 2nd Live Tour 2016~Th!s !s i☆Ris!!~」@Zepp Tokyo セットリスト

M-01 ドリームパレード i☆Ris
M-02 ブライトファンタジー i☆Ris
M-03 §Rainbow i☆Ris
M-04 ユメノツバサ/ココロノオト i☆Ris
M-05 Over the future 山北早紀・芹澤優
M-06 My Bright... 若井友希
M-07 鉄腕ガール 茜屋日海夏・久保田未夢・澁谷梓希
M-08 Secret Garden i☆Ris
M-09 Baby... i☆Ris
M-10 Vampire Lady i☆Ris
M-11 YuRuYuRuハッピーデイズ i☆Ris
M-12 キラリ i☆Ris
M-13 Happy New World☆ i☆Ris
M-14 Fanfare i☆Ris
M-15 Make it i☆Ris
M-16 幻想曲WONDERLAND i☆Ris
M-17 Realize! i☆Ris
M-18 Goin'on i☆Ris
【ENCORE】
M-19 Ready Smile!! i☆Ris
M-20 Color i☆Ris
M-21 Raspberry night i☆Ris

Photo:上飯坂一