女性の体重・体形によって不妊リスクはどう変わる?

肥満(BMI25以上)で月経不順の方は、排卵していない、または排卵しにくい可能性があります。特にお腹が出ている体形の方は、注意して基礎体温をつけてみましょう。自然妊娠は、卵子と精子が卵管で出会って受精卵ができるところから始まるので、排卵、つまり卵巣から卵子が出てこなければ妊娠しません。

排卵障害がない方、すなわち月経が順調にきている方でも、特にBMIが30を超えている場合は妊娠しにくくなります。糖尿病のほか、インスリン抵抗性が高いことや、甲状腺ホルモン分泌の異常が見つかるかもしれないので、検査はしたほうがよいでしょう。また、原因ははっきりわかっていませんが、肥満度が高いと流産も増えます。

肥満は女性だけでなく、男性の精子にも影響することがわかっています。肥満が男性ホルモン分泌、精子の数や運動数を下げるということは以前から指摘されていました。最近では、精子の質にも影響するという報告が出ています。

やせすぎ・過激なダイエットによるリスク

ただ、現在の日本で20代女性の23%がやせすぎという報告があります。やせすぎでも起こるのが、排卵障害です。体重がBMI18.5をきると無月経になりやすく、3カ月間月経がない場合は、すぐに治療を始めたほうが良いでしょう。体重が正常範囲になると月経も始まりますが、無月経の期間が長いと、体重が戻ってもなかなか自然月経が再開しないことがあります。無月経の期間の約3倍かかるという報告もあります。

もう一点、注意しないといけないのは、摂食障害(拒食症・過食症)です。やせている状態がよいと思い込んで低体重に陥りますが、自分は元気だと思っているので、体の疲労に気づきません。まれには生命の危機を伴いますし、精神科の受診が必要となります。そして、ダイエットが摂食障害のきっかけになることも多いのです。ダイエットをしても、落とすのは「健康体重(BMI22)の90%まで」にしましょう。

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記事執筆: 船曳美也子(ふなびき・みやこ)

1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2013年10月9日、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書『女性の人生ゲームで勝つ方法』(主婦の友社)を上梓。En女医会にも所属している。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。