シリコンバレーだけでなく、米国、あるいは世界で最も著名なテクノロジー企業であり、驚異的な成長を示し続けてきたApple。その先行きを不安視する声も少なくない。これまでAppleは、各四半期決算においてそうした暗雲をはねのけてきた。しかし、2016年はそう簡単にはいかないようだ。

Appleは米国時間1月26日に、2016年度第1四半期決算を発表した。もはや当たり前となった「過去最高の四半期」(Record Quarter)こそ維持したが、これまでの拡大一色とはいかなかった。

Appleの2016年第1四半期決算は、759億ドルの収益を上げ、純利益は184億ドルという結果で、過去最高ながら、いずれも前年同期比からわずかな増加に留まった。ガイダンスには収まっているが、アナリスト予測を下回る結果となった。株価も反応し、1月末に97ドル台まで戻す局面があったものの、決算発表後は一時92ドル台まで下げた。

主力製品の停滞と減速

Appleの収益は、悪化こそ免れているが、非常にわずかな成長に留まった。その原因は、稼ぎ頭のiPhoneの成長が止まったことにある。その他の主力製品であるiPadは前年同期比で出荷台数25%の減少、これまで堅調に成長してきたMacも減少に転じた。

iPhoneを武器に破竹の勢いで成長してきたAppleに何が起きているのか

iPhoneの低成長は、前年、つまり2014年に大画面化を施したiPhone 6、iPhone 6 Plus、中国市場への本格的な取り組みによって、iPhoneの販売台数は大きく上振れしたことによる反動と見てもよいだろう。2015年度第1四半期(2014年10~12月)のiPhone販売台数は7446万台で、前年同期比で約40%も増加(2014年度第1四半期は5402万台の販売)しているからだ。

iPhone販売台数の推移。図表内の2015年度第1四半期と2016年度第1四半期がほぼ同等の数値となり伸びやんでいることがわかる(Apple決算資料をもとに作成)

つまり、2016年度の各決算において、iPhoneの販売台数は、前年度の「できすぎた数字」と比較されることになる。決算発表でもアナウンスがあった通り、4月に発表される2016年度第2四半期決算において、iPhoneの販売台数は減少するとの予測も出された。2016年についていえば、この数字を上回ることは難しいだろう。その理由は、中国のホリデーシーズンともいえる春節の時期で、中国経済の状況が2015年とは異なると見られるからだ。