J:COMが電気サービスの料金プランを発表した翌日、1月7日に東京電力が自由化以降の新料金プランについてリリースした。こちらの戦略も、東京ガスやジュピターテレコムと基本的には同じで“電力以外のサービス”とのセット割引を目玉としている。加えてポイント付与にも注力しているのが特徴といえる。
ポイント付与は東京ガスのサービスでも適用されるが、東京電力のほうがポイント利用に積極的な印象を受ける。
まず、月々の支払い1,000円につき5ポイントが加算される(税などをのぞく)。たまったポイントは「T-POINT」や「PONTA」に変換できるうえ、以降の電気料金にも適用できるようになる(電気料金などへの適用は2017年春をめどに実施予定)。また、Webから申し込んだ場合、500ポイントが付与されるので、新しくリリースされた「スタンダードプラン」に加入した場合、月々の支払いで生じたポイントを足すと年間約1,000円お得になるという計算だ(40A、月平均使用量400kWhを想定)。また、月401kWh以上の電気使用量がある家庭に向けた「プレミアムプラン」では、3月31日までに2年契約をすると12,000ポイント付与もしくは10,000円のギフト券がもらえるキャンペーンも実施する。
ただ、こうしたポイント付与は新たに発表されたプランに加入した場合のみ。従来のプランをそのまま継続する場合は適用されない。
リテールの販売店を提携で手に入れる
セット割引については、多様な企業との提携で実現させている。例を挙げるとニチガスやレモンガス、川島プロパン、TOKAIグループ、USENなどだ。
なかでも注目したいのがソフトバンクとの提携だろう。というのも、自由化当初は中部電力管内、関西電力管内で東京電力は営業するが、ゆくゆくは全国展開を視野に入れている。全国に顧客基盤を持つソフトバンクとの提携は、将来を見据えた戦略といえる。また、ソフトバンクショップの存在も大きく、顧客にダイレクトにリーチできるチャネルを手に入れたことになる。
一方のソフトバンクにしても、人口の多い首都圏の大多数を顧客にしている東京電力との提携にメリットを見いだしているはずだ。さらに、ソフトバンクは以前から「FIT」(“再生可能エネルギーの”固定価格買取制度)に取り組んでいるが、再生可能エネルギーだけではどうしても電力供給量が少なく、大きな事業には発展しにくい。東京電力と組むことで、潤沢な電力仕入れ先を確保したことになる。
ソフトバンク 代表取締役社長の宮内謙氏は、1月12日に行われた「ソフトバンクでんき」の発表会で「(再生可能エネルギーの)FITの展開は進めるが、(原発事故を起こした)東電と組むのに矛盾はない」と話したことをみても、東京電力との提携に価値を感じているはずだ。