1月13日から東京ビッグサイトで第2回ウェアラブルEXPOが開幕している。一日目の午後には基調講演として、インテル、Jawbone、Houweiがそれぞれのウェアラブル戦略を語ったが、ここでは「インテルのウェアラブル戦略」をお伝えする。なお、基調講演は写真撮影が一切認められていない点をご了承いただきたい。
インテルの講演者は、IoTイノベーション事業開発マネージャーのデイビッド・フォード氏。シリコン業界のマーケティングに20年以上携わっている人物だ。
まずIDCの調査レポートを引用する形で、IoTとともにウェアラブル市場が急拡大することを示した。2019年には1.5億個のウェアラブルデバイスが出荷されると予測されており、年40%以上という爆発的な増加に期待がかかる。
「有力ブランド×インテル」の最新事例を多数紹介
インテルは業界のリーダーシップを果たすために、有力ブランドとの協力や今後重要となる技術の取得・買収、そして洗練された半導体と開発ツールの提供を行っている。
ブランドとの協力例としては、今年(2016年)のCESにてオークリーとニューバランスとの協業結果を紹介。オークリーのサングラスは音声操作可能なリアルタイムコーチング機能が備わっており、まるで隣にコーチが走りながらアドバイスをしているような体験が得られる。ニューバランスは、3D画像の取得が可能なインテルリアルセンスカメラで迅速に顧客の足形を取得し、カスタムメイドミッドソールの靴が注文できるようになるという。
インテルがウェアラブル用として提供する製品がCurieで、非常に小さなチップながら、多くの機能を備えているSoCだ。優れた省電力性能によって、魅力的なウェアラブル製品を作るために、インテルがテクノロジーの下支えをすると述べる。
CurieにはBLE(Bluetooth Low Energy)や、加速度・ジャイロセンサー、電源管理機構に加えて、DSP駆動型のセンサーハブを用意している。これにより、センサーからの入力に基づいた行動が可能だ。これらのパターンはプログラマブル、かつ低消費電力で活用できることが特徴なので、スポーツアプリケーションに向いている。
ソフトウェアプラットフォームでは、IQと呼ばれる一連の技術を搭載。たとえばIdentify IQは安全な認証基盤として利用できるので、車や家の鍵としてスマートデバイスを利用可能となる。
Qurie活用として、こちらもCESでの事例を紹介した。ファッションブランドのChromatと共同開発したAdrenaline Dressは、3Dプリンタで作られたパネルを搭載し、装着者の汗や体温などの情報を取得してパネルが可動。感情を外に伝えられる服になっている。また、ESPNのアクションスポーツイベント「X Games Aspen 2016」では、スノーボードにCurieを搭載。どれくらい高くジャンプしたかや回転数かなど、演技のデータをリアルタイムで提供した。
さらに、グラミー賞を受賞したミュージシャンのA.R.ラフマーン氏が手を動かすだけで、音楽を奏でるエアギターも披露している。本来のエアギターは音楽に合わせて弾いているようなフリをするものだが、今回のエアギターは手足に装着した加速度センサーを使って得られた動きから音を再現するものだ。インテルのデイビッド氏は「将来子供がダンスをするかのように、音楽の演奏が可能になる」とした。
「ウェアラブル製品開発のお役に」がインテルの立ち位置か
「有力ブランド×インテル」の例でもわかるとおり、今までにない革新的な製品が作り出せる"ウェアラブル"が始まりつつある一方、製品市場は立ち上がったばかりだ。
インテルは「業界の垣根を越えた新しいウェアラブル製品はあなたの会社でも作れる」としており、デイビット氏が最近関わった話として、アイディアからプロトタイプ作成まで4日、製品化まで3カ月と短期間で成果を出したものもある。革新的なウェアラブル製品作りのために、インテルの技術を活用してほしいと締めくくった。