東京電力は、2016年4月からスタートする電力小売全面自由化に向け、新電気料金プランを発表した。従来通りの従量電灯B・Cのほか、夜間の電気料金を割安にするプラン、SoftBankやニチガスと提携したセットプランなどを提供する。

1月7日に開催された報道関係者向けの説明会には、東京電力 常務執行役カスタマーサービス・カンパニー・プレジデント 小早川智明氏(左)、同社 執行役員 カスタマーサービス・カンパニー・バイスプレジデント 佐藤梨江子氏(中)、同社 カスタマーサービス・カンパニー アライアンス推進室長 眞田秀雄氏(右)が登壇した

ブランドスローガンは「挑戦するエナジー」

3つの価値を推進していくと説明する小早川智明氏

説明会の冒頭、小早川智明氏は、「2016年4月にホールディングカンパニー制に移行し、『東京電力エナジーパートナー株式会社』として新しい価値の創造に挑戦したい。変化はチャンスと捉え、お客様に電気を安定的にお届けし、ライフスタイルやライフステージに合わせたサービスメニューを提供する。さらに、福島復興に向けた原資の創出とグループ全体の企業価値の向上を目指していく」と決意を語った。新サービスについては、「経済的価値(おトク)」「付加価値(安心・便利)」「利用価値(省エネ・快適)」の3つを軸に提供していく方針を示した。

ファミリー世帯向けの「スタンダードプラン」

新料金プランについては佐藤梨江子氏が説明。一般家庭向けの料金プランは、基本料金が固定の「スタンダードS」と「スタンダードL」、さらに、過去1年間の使用実績から基本料金を決める「スタンダードX」の3つだ。これらのスタンダードプランは現在の電気料金が8,000円~17,000円程度(300kWh~599kWh)の家庭向け。

たとえば、契約電流が40A、月の平均使用量が400kWhの3LDKに住む4人家族で「スタンダードS」を適用した場合、毎月一定のポイントが貯まるほか、Webサイトから申し込むと500ポイントの特典(契約時に一括付与)が付くなど、従来の料金プラン「従量電灯B」と比較して、1年間で約1,000円相当がおトクになる。スタンダードSとニチガスとのセットプランだと、1年間で約6,500円相当おトクに使えるという。ただし、料金が割引になるというわけではなく、あくまでポイント付与というかたちだ。

スタンダードSとLの基本料金が固定なのに対し、スタンダードXはブレーカーで制限するのではなく、スマートメーターによって計測された30分ごとの使用電力量を使い、過去1年間の使用実績から基本料金を決める。過去1年間における各月のピーク電力のうち、最も大きいものが契約電力となり、基本料金が算出される仕組みだ。

なお、貯まったポイントは1円相当となり、TポイントかPontaポイントに交換可能だ。消費税や再生可能エネルギー発電促進賦課金、延滞利息などを除いた電気料金1,000円につき5ポイントが貯まる。電気料金にポイントを充当できるサービスは2017年春にリリース予定だ。

スタンダードSは現在の契約電流が40A、月の平均使用量が400kWh、3LDKのマンションに住む4人家族がモデルケース

スマートメーターの見本

ポイントについての説明

電気をたくさん使うなら「プレミアムプラン」

月の電気代が17,000円以上(600kWh以上)と、電気をたくさん使用するユーザー向けのプランが「プレミアムプラン」だ。大家族やペットのいる家庭などを想定する。400kWhまでを定額料金とし、401kWh以上の単価を割安にするプランだ。3月31日までに2年契約へ加入したユーザーに、キャンペーン特典として12,000ポイント付与する。

たとえば、契約電流が50A、月の平均使用量が700kWhの4LDKに住む家族が、2年契約で先行予約した場合、電気料金が2年間で約14,800円割引になるほか、ポイントを合わせると約29,300円相当おトクになる計算だ。プレミアムプランには、電気設備にトラブルが生じた場合に対応してくれる「電気の駆けつけサービス」も付く。ニチガスとのセットプランでは、2年間で約40,800円相当おトクになるという。

プレミアムプランは現在の契約電流が50A、月の平均使用量が700kWh、4LDKの一戸建てに住む4人家族がモデルケース。ニチガスとのセットプランなら2年間で約40,800円相当、有利になる

オール電化住宅向け「スマートライフプラン」

エコキュートやIHクッキングヒーターなどを導入したオール電化住宅向けのプランが「スマートライフプラン」。昼間の料金はスタンダードプラン相当だが、夜間にうまく電気を使うことで電気料金を節約できる。エコキュートやIHクッキングヒーターなど住宅設備が故障した場合の修理サービスも含まれる。

オール電化住宅向けのスマートライフプラン

夜間の電気料金が安くなる「夜トク8」「夜トク12」

DINKS(共働きで子どもを持たない夫婦)など、夜間に電気を多く使う人向けのプランが「夜トクプラン」。「夜トク8」は夜23時から朝7時まで、「夜トク12」は夜21時~朝9時まで電気を割安で使える。

たとえば、契約電流が50A、月の平均使用量が500kWhで夜型のライフスタイルなら、夜トク12の場合、電気料金が1年間で3,300円割引になるほか、ポイントを合わせると約4,500円相当おトクになる。

炊飯器や食器洗い乾燥機も、タイマーで夜間時間帯に使えばおトクになる

21社との提携先セットプランも用意

セット料金プランは、SoftBankやUSEN、ニチガス、川島プロパン、ビックカメラなど21社と提携。提携先は今後も拡大していく方針だ。さらに、電力全面自由化を受け、エリアも拡大していく。4月以降は中部電力と関西電力サービスエリアの顧客獲得に向け、中部電力サービスエリアでは、スタンダードS・L・Xとプレミアムプランを、関西電力サービスエリアではスタンダードXとプレミアムプランを用意する。いずれのエリアでも提携先セットプランを選択可能だ。

提携先一覧。通信・インターネットから家電、音楽配信、ガス・エネルギーなど21社で多岐にわたる。提携先は今後さらに増やしていく予定だ

新料金プランは1月8日9時から電話で申し込み受付を開始。1月15日9時からはWebでも先行予約を受け付ける。

東京ガスとの比較

説明会の終了後に行われた質疑応答では、積極的に宣伝している東京ガスとの比較についての質問があった。これについては急きょ資料が配られ、プレミアムプラン(2年契約の先行予約)の場合、東京ガスの「ずっとも電気1」と比べて月あたり約450円おトクになると説明した(契約電流が50A、月の平均使用量が700kWhで計算)。

質疑応答中、急きょ配られた「プレミアムプラン」と「ずっとも電気1(東京ガス)」との料金比較