NTTドコモが12月1日から新たに提供開始したポイントプログラムの「dポイント」。従来からある「ドコモポイント」をリニューアルしたサービスとなるが、注目したいのは、ドコモ契約者ではなくとも、手軽に利用できるキャリアフリーになったことだ。顧客の"囲い込み"を目的としたようにも見えるポイントプログラムだが、dポイントの仕組みとキャリアフリーの意味を考えると、ドコモの別の顔が見えてくる。

新サービス「dポイント」の特徴は、ローソンやマクドナルドなどのパートナーと手を組み、「ポイントをためる」「ポイントを使う」範囲を広げたことにある。ドコモではもともと、「競争から協創へ」という方針のもと、従来の顧客獲得競争から外部の企業とのコラボレーションを通じた戦略に転換しており、ポイントプログラムの外部連携を行うdポイントもその方針の一環となるものだ。

「dポイント」は外部企業との連携による『「+d」の展開』に含まれる

そのdポイントで注目すべきは、キャリアフリーなこと。dポイントカードを作れば、自分が契約する携帯電話会社がどこでも、dポイントをため、dポイントを使うことができる。サービス開始当初は、ポイント還元率の高い各種キャンペーンが展開され、注目のポイントプログラムとなりそうだ。

dポイントカードでキャリアを問わずにdポイントが使えるように

かつての狙いは"囲い込み"

では、"協創"により、ドコモのポイントプログラムのビジネスモデルは、どう変わるのか。まずは旧ドコモポイントの位置づけについて考えたい。

旧ドコモポイントは、顧客の囲い込みを重視した戦略として機能していた。ポイントプログラムを活用して、ドコモとの契約、サービスを継続利用してもらう。これによって、他のキャリアへの流出を防ぐ効果が見込めたわけだ。

実際、旧ドコモポイントは、「ポイントをためる」「ポイントを使う」のいずれをとっても、ドコモのサービスを中心とした色彩が濃かった。ドコモのサービスの利用でポイントがたまり、ドコモの機種代金、修理への充当が行えるなど、ざっくりと言えば、ドコモユーザーのためのポイントプログラムだった。仮にドコモがポイント費用を負担してでも、メリットがあるものとなっていた。

dポイントでも、旧ドコモポイントの利用者にとって、ポイントの利用先が増えるメリットがあり、一定の囲い込み効果を発揮するが、キャリアフリーになることで、不可解な点も見えてくる。それは、キャリアフリーになった場合、ドコモがポイント費用を負担するのは割にあわなくなることだ。

もちろん、ポイントを目当てに、新たなユーザーの獲得の可能性はある。しかし、面倒なMNP(ナンバーポータビリティ)を利用しようとしたり、ドコモのサービスを活用しようとしたりする人がどれだけいるか、という疑問は当然残る。それでもキャリアフリーにするのは、ほかに収益の見込みが立っているからだ。