同じことをしても、同性である女性からのウケがいいことが、必ずしも異性である男性からもウケがいいとは限りません。また反対に、女性からのウケが悪くても、男性からのウケがいいこともあります。
これは、ファッションやメイク、料理といった嗜好に関するものだけではなく、モテという恋愛の要素にもおよびます。なぜ、男ウケと女ウケが違うのでしょうか。
男性と女性の性差
男ウケと女ウケが違う理由は、当然ながら男女という性差に由来しています。それは生物的な性差であったり、社会的に期待される性役割の差であったり。これまで心理学的にも、いろいろな性格の特徴について、性差が調べられてきました。
たとえば、私たちは誰かに見つめられたときや、鏡などを通じて自分をみるとき、自分自身を意識します。それは、個人の自己評価や社会的な行動に影響を与えます。そんな自分に対する意識は、男性よりも女性の方が高いんです。男性よりも女性のほうが他人からの評価に敏感で、他人の目を意識して自分の印象を変えやすく、これは実際に行動に影響を与えます。
ほか研究では、男性は情緒的安定性が高く、支配的で、ルールや義務に対して敏感であり、女性は感受性、優しさ、思いやりなどが強いとされています。つまり、『Men Are From Mars, Women Are From Venus』(男は火星から、女は金星からやってきた)という本がアメリカで出版されていますが、それくらい違うものなんです。
「男ウケ」を狙うなら男性目線で自分を見る
では、モテという恋愛要素から男ウケと女ウケの違いを見てみましょう。たとえば、男性は支配的だといいました。つまり、意識的か無意識的かは別として、男性には女性を自分の思い通りにしたいという意識が強いことを意味しています。そういう男性から見れば、依存的で自分に甘えてくれる、か弱い女の子はウケがいいですよね。いわゆる"ぶりっこ"なキャラクターかもしれません。
ですが、そういう女性は、同性である女子からのウケが悪いことが多いでしょう。女ウケがいいのは、自立していて仕事もほかのこともバッチリできる女性では。ですが、そういう女の子は男性の思い通りにならないので、男ウケが悪くなることもあるかもしれません。また、「恋愛は、繁殖という目的を達成させるための手段として存在する」という進化心理学的な立場で考えれば、繁殖に関する男女差が問題になってきます。
ではどうすれば、男ウケできるようになるのでしょうか。それは、ファッションを考えることと共通しています。いくら自分がおしゃれだと思っていても、それを見るひとがおしゃれだと思わなければ、ダサいという評価になりますよね。反対に自分がダサいと思っていても、相手からみておしゃれであれば、そのファッションはおしゃれという評価に。
男ウケを考えるときには、男性の立場で自分を見てみることです。そのためには、男女でなにが違うのかを、知る必要はあるのですが……。
※写真と本文は関係ありません
著者プロフィール
平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。京都大学研究員、国際日本文化研究センター講師、チュラロンコーン大学講師などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。魅力や男女の恋ゴコロに関する心理にも詳しい。現在は、生活の拠点をバンコクに移し、日本と往復しながら、大学の講義のみならず、テレビ、雑誌、講演会などの仕事を行う。主著は『化粧にみる日本文化』『黒髪と美女の日本史』『邪推するよそおい』など。