iPod touchのマイナーアップデート版」が早々に登場?

ここでTSMCとSamsungの話が出たが、現在のAppleはiOSデバイス向けSoCの調達先をこの2社からのデュアルソースとしている。A8登場のタイミングでSoCの調達先をSamsungからTSMCに切り替えたという話も聞かれたが、実際にはSamsungからの調達も継続されている。Re/codeがIHSのアナリストAndrew Rassweiler氏のコメントを引用して伝えるところによれば、同件が報じられた2014年9月のタイミングでSoCの調達比率はTSMCとSamsungで6:4程度だという(SoCの種別は不明)。

後の2015年4月にKGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏が報告したレポートによれば、次期iPhoneに採用されるとみられる「A9」の発注比率はTSMCとSamsungで3:7となっている。つまり、Appleは1世代ごとにSoCの2つの調達先をメインとサブで交互に切り替えている様子がうかがえる。台湾Digitimesは7月16日にTSMCとSamsungがA9の大量生産に入ったと伝え、このうちTSMCは16nm FinFETを採用していると報告している

2社は新プロセスでの供給量の多くを当初はApple向けに振り分けるとみられるが、依然としてこのあたりの供給量や歩留まりに関する情報は錯綜しており、不明な点が多い。特に歩留まりやその他の事情(Samsungが自社向け供給を優先するなど)でAppleの要求を満たせない可能性も指摘されており、予断を許さない。もしA9でパフォーマンスや歩留まりに関する問題が発生した場合、次期iPhone製造におけるボトルネックの1つとなる可能性がある。

なお、第6世代のiPod touchのハードウェア番号は以前の第5世代の「iPod5,1」から一気に飛んで「iPod7,1」となっている。これはiPhone 6世代の「iPhone7,x」に合わせたとみられる。第6世代の発売はiPhone 6登場から1年弱が経過しているわけで、間もなくiPhoneの次世代モデルが登場することを考えれば、その意味では「1つ前の世代のもの」を採用していることになるといえる。また冒頭で「次のiPod touchは2~3年後までアップデートされない」と説明したが、先の仮説にもある事情で「A9世代のSoCを用いたiPod touchのマイナーアップデート版」が早々に登場することもあるかもしれない。